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安部公房の長編小説「方舟さくら丸」およびその前日譚「ユープケッチャ」にはユープケッチャという虫が登場する。これは結論から言えば安部公房の創作であるが、その生態をまとめた。以下、ネタバレ注意。あと下ネタ注意である。
ユープケッチャの生態 | |
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生息地 | エピチャム島 |
名前の言語 | エピチャム語 |
意味 | 時計(時計虫) |
姿 | 足は退化している。腹が膨らんでおり、この部分を支点にして長い触角で体を回転させる。 |
主食 | 自分の糞(バクテリアが養分を再生産するので、糞が主食でも栄養が尽きない) |
生活スタイル | 夜明けとともに糞を食べ始め、日没とともに食べ終わる。雨期には、バクテリアの活動が衰え、食べる量が減る。交尾期には、地上を飛び回り、半円状の糞の中に卵を産む。 |
ヒトとのかかわり | エピチャム島では、機械仕掛けの時計は「ユープケ・ヌ」であり、ユープケッチャとは区別されている。 現在では観光資源として利用されている。 ユープケッチャに魅せられるあまり、一日中観察し、ついには自分の排便をほおばりながら狂って死んだセールスマンの記録がある。(日本人のセールスマンという説も) |
ユープケッチャは安部公房の創作であり、実在しない虫である。「ユープケッチャ」では、創作したことを裏付けるエピソードが挿入されている。
主人公の妹は教師をしており、生徒にユープケッチャがなぜ創作されたか聞くという話である。
「なぜユープケッチャが図鑑に載っていないのか?・・・作り話だからと答えたのが32名」
「なぜ足がない?・・・切り取ってしまったからと答えたのが41名」
「なんの目的でつくった?・・・金儲けをするためと答えたもの45名」
こちらも安倍の創作である。GoogleMapでエピチャム島と検索しても、何も出てこない。
エピチャム語も、実在しない言語である。
説1.ゴキブリ
「ユープケッチャ」には、主人公が自分のアパートの蛇口をひねったら、水の代わりに「あめ色に光るゴキブリ」が出てきたというシーンがあり、ゴキブリがユープケッチャのモデルになったとも受け取れる。実際、体の色や羽があること、触覚が長いことは共通している。
説2.ニワハンミョウ
安部公房の代表作「砂の女」は、冒頭で主人公の男がニワハンミョウの新種を探しに行くという導入になっており、この時の虫のイメージが影響を与えたとも考えられる。しかし、見た目はあまりユープケッチャに似ていない。