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テクノヘゲモニーの言葉の意味と、その実際の国々がたどった歴史を見ていこう。この言葉は薬師寺泰蔵の書いた「テクノヘゲモニー」で提唱された概念である。
テクノヘゲモニー |
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技術的な世界の覇権、という意味。 技術を表す「テクノ」+覇権を表す「ヘゲモニー」の造語。 ヘゲモニーを取った国のことを「ヘゲモン」と呼ぶ。 関連する重要な概念としては「エミュレーション」があげられる。 |
エミュレーション |
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本来は模倣といった意味だが、この文脈では 「技術の競争状態」と「外部技術」 のことで、新しい技術とこれらの融合が国をヘゲモニーとして押し上げる。 |
18~19世紀:イギリスがテクノヘゲモニーを握る
イギリスのテクノヘゲモニー 代表的技術革新は ・蒸気機関 ・自動織りもの機 |
イギリスのエミュレーション ・科学革命 ・織物産業のシェア拡大 |
19世紀末~20世紀初頭:ドイツがテクノヘゲモニー
ドイツのテクノヘゲモニー 代表的技術革新は ・エンジン(内燃機関)の開発 ・染料の開発 |
ドイツのエミュレーション ・ドイツ特許法・・・ほかの国の技術を模倣しやすくするため、特許法の整備をあえて遅らせた |
20世紀:アメリカがテクノヘゲモニー
アメリカのテクノヘゲモニー 代表的技術革新は ・車技術の開発 ・電気技術の開発 |
アメリカのエミュレーション ・自動車のベルトコンベア方式 ・送電方法をめぐる直流と交流の開発 |
1980年代:日本がテクノヘゲモニー
日本のテクノヘゲモニー 代表的技術革新は ・家電の開発 ・精密電子部品の開発 |
日本のエミュレーション ・集積回路 ・戦後の復興 |
薬師寺泰蔵の書いた「テクノヘゲモニー」には、ここまでの歴史しか書かれていないが、この後の歴史についても書いておこう。
2000~2010年代:アメリカが再びテクノヘゲモニー
アメリカの2度目のテクノヘゲモニー 代表的技術革新は ・コンピュータの発展 ・インターネットなど情報技術 |
アメリカの2度目のエミュレーション ・SNSによる人間関係の構築 ・情報収集による社会の効率化 |
2010年代末以降:中国がアメリカのテクノヘゲモニーと並び始める。
・技術的な競争は産業革命期から過激になっており、最新の機械をばらして港から密輸した、などの記録が残っている。
・テクノヘゲモニーと特許
ある国が台頭し始めると、すでにテクノヘゲモニーとなっている国との特許を巡る争いが起こるのはほぼ確実と言ってよい。イギリスとドイツの移り変わりの間や、アメリカと日本の移り変わりの間で起こっている。
・つぎのテクノヘゲモニーは中国になるのか?
いわゆるGAFAに対抗する形でBATHなどが登場しているが、新しい分野の技術が発展したというよりは情報技術の土俵で並んでいるので、しばらくはにらみ合いが続くと思われる。