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日本における自己責任論の歴史を年表にまとめた。なお、自己責任とは本来「自分の責任のもとで法的な権利を行使する」といった意味で、単純に「お前の選択が悪いんだ」という意味ではない。
1990年代はじめ:バブル崩壊後の借主責任論。・・・自己責任論のはしりといってもよい。これは「借金したやつはリスクを承知で借りたんだから自己責任だ」というもので、不良債権処理の過程で問題になった。この考え方に追い詰められて、自殺する人が多数いた。
20世紀末:ひとり親世帯の自己責任論。なお、そのほとんどは母子家庭である。彼女らに対しては「そんな男と結婚したのが悪い」といった言葉がなげかかけられた。なお、下の新型コロナの項目でもひとり親世帯が登場する。
1997頃:就職氷河期世代の自己責任論。緊縮財政とアジア通貨経済危機の影響で、就職ができず、就職氷河期世代とよばれる人々が創出された。努力不足で切り捨てられてしまった面も大きい。
2008頃:派遣社員の自己責任論。リーマンショックによる派遣ぎりが問題に。「派遣は本人がえらんだから自己責任」というもの。1970年代後半から1980年代前半くらいの世代がロストジェネレーション(ロスジェネ)と呼ばれはじめる。
2014年頃:ジャーナリストの自己責任論。ジャーナリストが海外で拉致され、殺された事件。「リスクを承知で危険地帯に行ったから自己責任」というもの。このジャーナリストが自己責任かどうかは評価がわかれ議論を呼んだが、ネットの普及とともに自己責任という言葉を広めた出来事だった。
2010年代:貧困老人の自己責任論・・・貧困に陥った高齢者に対して、「バブルの時遊んでいたんだろう」といった形で自己責任論が展開された。孤独死などが社会問題化。
2020:菅政権が発足。「自助、共助、公助」というスローガンが掲げられた。
この時期、困窮や困難に陥った業種への自己責任論が次々発生した。
・看護師など医療従事者への自己責任論・・・「その職に就いたのがわるい。いやならやめろ」という形で救いを拒絶。
・ひとり親世帯への自己責任論・・・「備えていないから困窮に陥ったのだ」という自己責任論。これには親だけでなく、子供も巻き込まれるが、当然子供は親を選べないので自己責任ではない。
・飲食店への自己責任論・・・「事業にはリスクが伴うのだから、それを引き受けろ」という形で救いを拒絶。また、協力金に対してバッシングも起こった。
ナチスドイツ政権下での無関心・自己責任論をうたったニーメラー牧師の詩が有名である。今日でも通用するメッセージが読まれている。