概要
ガウスが残した数学に関する日記の内容。全146項目、最初の4年間(十代後半のころ)だけでおよそ7割が書かれている。 子孫であるカール・アウグスト・アドルフ・ガウス(1849-1927)から数学者パウル・シュテッケルへ渡され今日に伝えられた。
年表
1796年3月30日:1.円周の分割が依拠する諸原理、別けても円周の17個の部分への幾何学的分割が可能であることを・・・
・・・正17角形の作図について述べている
1796 5月14 :5.任意の数をさまざまな仕方で二つの素数に分けることの可能性 ・・・ ゴールドバッハ予想についての着想
1796 6月19 :13.分布の法則・・・素数の分布について
1796 6月20 :14 諸因数の和は無限大においてππ/6に等しい
1796 7月10 :18.発見した! 数=△+△+△
1796 10月18 :42 一つの法則が見つかった。それが証明されたなら、システムが完成の域へと導かれるのだ。
・・・謎の一つ。法則、システムが何を指すのか不明である。
1796 10月21 :43 GEGANを征服した。
・・・もっとも有名な謎。GEGANが何かは全く分かっていないが、ほかのメモには、NAGEGの文字とレムニスケート曲線が書かれており、これを「Nexum madii Arithmetico-Geometricum Expectionibus Generalibus」の略とよめば
「一般的に期待される算術幾何平均の関係」、となるとの解釈がある
51 ∫(dx/√1-x^4)に依存するレムニスケート曲線を調べ始めた
1797 7月28 :72 平面の可能性を証明した。
・・・非ユークリッド幾何学のことだと解釈されている
80 方程式は虚数根を持つことが、自然な方法で証明された
・・・代数学の基本定理のことである
1800 5月16 :107 このころ、復活祭の年代決定問題を素晴らしい方法で解決した
117 このごろ、ユダヤ人の復活祭を新しい方法で決定する仕方を報告した
豆知識
・ ガウスの母親はガウスの誕生日を覚えておらず、「昇天祭から八日前の水曜日」という記憶しかなかった。ガウスは何日が昇天祭かの公式を編み出し、誕生日を計算した。
・この日記が日本で紹介されたのは1930年代、数学者高木貞治が伝えた。
・ヴェイユはこの日記からヴェイユ予想の着想を得たともいわれている。
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考察
・ゴールドバッハ予想を実は証明していたのか?
ガウスはゴールドバッハ予想を独自に着想するところまではいきついたらしいことがわかる。ほかにも素数について偉大な貢献をしているので、自然と素数と偶数の関係に意識が言ったものと考えられる。
しかしながら、その口ぶりを見るに、断定はしていない。証明したのであれば、証明したと書くはずである。よって、正しそうだと予想が立ったものの、彼は証明したわけではないということだろう。
でももし、のち人生の中で証明していたが発表しなかったというパターンだったとしたら夢のある話である。
・ππ/6について
この項はバーゼル問題について計算したものと予想される。因数の和が円周率の二乗を6で割ったものに等しい、というのはこれ以外に考えられない。オイラーが貢献しているので、若かったガウスがそれを知っていたのかはわからないが、独自で証明したと考えられる。
・ユダヤ人の復活祭とは
この項にはあまり数学と関係なさそうな復活祭の話がでてくるので、 いささか面食らうが、近くの項目に 年代決定問題があるため、これも暦に関する公式についてだと予想される。 このころは天文にかかわっていたこともありガウスの中で暦に関する興味が大きかったと思われる。