数学上の難問として名高いフェルマーの最終定理が証明されるまでの歴史。百年単位で解けなかった難問のうち、問題を理解すること自体はおそらく一番単純である(ピタゴラスの定理を知っていればなおさら)。それだけに、多くの数学者を惑わした。
年表
1637頃:フェルマー、最終定理を記述する。
同時期:フェルマー、n=4の証明
X^n+Y^n=Z^n
nが2より大きい時、これを満たす3つの整数は存在しない。
フェルマー
私はこの命題の真に驚くべき証明を持っているが、余白が少ないのでここには書けない。
1670:フェルマーの書き込みのある「算術」、発行される。
1730代:オイラー、n=3の場合を証明
19世紀:ソフィージェルマン、2p+1が素数の場合の研究
1825:ディリクレ、ルジャンドル、5の場合の証明
1839:ラメ、7の場合の証明
19世紀半ば:ラメ、コーシーの挫折・・・ラメやコーシーは完全な証明をできたと主張するも、誤りを修正できなかった。
1908:ヴォルフスケール、賞金をかける
1955:谷山=志村予想・・・楕円方程式とモジュラーの関係
1984:フライの楕円方程式・・・最終定理が間違っていると、谷山志村予想は不成立
1990代:ワイルズ、 屋根裏にこもって谷山志村予想からの証明の試み
1994:ワイルズ、完全な証明に成功
豆知識
・ガウスは、「自分ならこのような問題はいくらでも作ることができる」といって、証明にかかわろうとしなかった。なのでこの問題の歴史には出てこないが、ケプラー予想では重要な貢献をしている。
・ワイルズはこの問題を少年時代から知っていた。その時も頑張って解こうとしたがさすがにできなかった。
・現代でも、フェルマーの時代の知識のみで証明しようとする人がいるらしい。
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考察
・結局、フェルマーは証明できていたのか?
この疑問については、以下の説があると思われる。
・無限降下法(彼が得意だった背理法)によりとけたと勘違いした。
・ラメ、コーシーらと同じ間違いをおかした。
・とけなかったので、メモに意味深な嘘をかいた。
さすがに、最先端の数学を駆使したワイルズの方法をフェルマーが編み出すのは無理であっただろう。かといって、彼は法律家で、ほかの数学の証明は多くの正しい回答を得ていることから、解けずに嘘やジョークを書いたというのも考えにくい。
そこで、勘違い説が有力になってくる。おそらく、無限降下法について考えを進めていたらすべての場合に適用できると早とちりしてしまい、余白がないので書かずに満足してしまったなどが考えられる。
・挫折後のタイムラグ
19世紀には、コーシーの挫折後、大きなタイムラグがあり、あまりこの問題が顧みられなかったことがうかがえる。この時代は過去の問題に目を向けるよりも数学の構築を進める方に関心が向いていたのだろう。あるいは、挫折者が出たのでおそれの方が大きかったか。