賢者の石の作り方を年表でまとめた。古今東西、ある程度くわしく記録が残っているので、暇な人はチャレンジしてみよう。
賢者の石の作り方
葛洪(かっこう)の作り方
4世紀:中国、葛洪・・・身を清め、大きな山の上で数人で以下を混ぜ合わせる。
薬品・・・硫化ヒ素、硫黄、塩など
鉱物・・・雲母、白亜など
その他・・・蠣の殻、松の脂など
ヴィルヌヴのアルノーの作り方
13世紀:ヴィルヌヴのアルノー・・・以下を金銀と混ぜ合わせる
水銀性の「いのちの水」を、金あるいは銀1に対して液12を混ぜる。赤い粉末が出たら完成。
ダスティンの作り方
14世紀:ダスティン・・・赤い硫黄、水銀
密封したガラス容器で混ぜて加熱する。このとき火を絶やさないようにする。常に煙が立ち上っているのが望ましい。白くなったらさらに過熱する。
約100日後、赤くなったら完成。
ノートンの作り方
17世紀:ノートン
赤褐色のリサージ、透明なマグネシアを用意。
リサージを処理して白鉄鋼にする。
これを塩化アンモニウム硫黄などと加熱し混ぜると、白いエリクサーが完成する。
豆知識
・硫黄と水銀を混ぜるとできる硫化水銀は実際に固形で赤い色をしており、賢者の石の正体といわれている。
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考察
・やはり賢者の石の色は赤
基本的に賢者の石のうち作り方が詳しくのっているのは、赤い粉末が完成品のようである。これは酸化した水銀を見間違えたものであると推測される。
・いつも肝心なところが書いていない!
賢者の石の作り方を調べても、いつも内容に不正確なところが存在する。たとえば、以下のパターンがある。
・最初に用意されている薬品がすでに謎
・途中の工程や最後の詰めの工程が謎
・絵の形で書いてあって、作り方が不明、あるいは、解釈が何通りもできてしまう。
・詩や暗号めいた形で書いてあって、 作り方が不明、あるいは、解釈が何通りもできてしまう。
これらは結局、誰一人賢者の石を完成させることができず、書き方をごまかした、ということの一つの証拠でもあろう。
・結局、賢者の石は完成したのか?
当然、賢者の石は完成されていないし、正しい製法が現在につたわっているわけではないことは明白である。もし、(不老不死を与えるという意味での)賢者の石なりエリクサーが作られたのであれば、いまだに生きながらえている錬金術師がいなければ矛盾である。でも、作り方を詳細に書いてくれているのはまだ良心的な方である。