高杉晋作は幕末に奇兵隊を用いて倒幕に動いた人物として有名です。また、彼の辞世の句もよく知られています。ここでは、高杉晋作の辞世の句の意味と、本当は言っていない説などを解説します。
高杉晋作の辞世の句の意味を解説!
まずは、高杉晋作の辞世の句と、その意味を見ていきます。彼の辞世の句としては、微妙に違う二つの説があります。
高杉晋作の辞世の句
高杉は肺結核でなくなりました。以下が良く知られている高杉晋作の辞世の句です。
おもしろきこともなき世をおもしろく
おもしろきこともなき世におもしろく
さて、一つ目の句を辞世の句ととるなら、意味は以下のようになります。
面白いこともない世の中を面白い世界に変えていこう
こちらは彼の世界を変えるという志が表れている人気の高い解釈であり、多く引用されるのもこちらでしょう。
ふたつめを辞世の句ととる場合は、以下のようになります。
面白いこともない世の中だが、自分次第で面白く生きていくことはできる
こちらは、自分の心の持ちようによって楽しく生きるという感じのニュアンスになります。
あるいは、つまらない面白く生きるにはどうしたらよいだろうか、という不満・疑問を含んだニュアンスをとる解釈もあります。
実は下の句もある
この辞世の句ですが、実は下の句があります。
ただし、下の句は本人が作ったものではなく、看病をしていたとされる尼僧であり女性歌人、野村望東尼(のむら もとに/ぼうとうに)がついで作ったものです。
その句と意味は以下のようなものです。
おもしろきこともなき世をおもしろく(上の句)
すみなすものは心なりけり(下の句)
これの意味は比較的とりやすいですが以下のようになります。
心の持ち方次第で面白く生きることができるようになる
こうしてみると下の句は「こともなき世に」、というほうの句に近いニュアンスを感じますね。
本当は言っていない説
本当は言っていない説としては、上で述べている「下の句は本人が言ったものではない」というものもありますが、ほかにもあります。
じつは高杉本人の書いた筆による辞世の句が残っていないため、正しい句がどちらなのかがわからないという問題があります。
また、この句に関してはなくなる1年ほど前にすでに読まれていたという資料も存在しているため、辞世の句というには時期が離れすぎているという解釈もできます。
こうなると、本当に死の間際に読んだ辞世の句は何だったのだろうかという疑問も出てきます。
高杉晋作の都々逸も有名
高杉晋作には、有名な都々逸もあります。それが、
三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい
(朝寝の部分は「添い寝」になっていることもある)
というものです。
これは遊女にあてて読んだものであり、意味は、「カラスが鳴けば、自分は帰らなければならない、ならば、全世界のカラスを殺してでも、朝まで添い寝がしたいものだ」
というような意味のようです。要するに一種のラブソングということになるでしょうか。
三千世界を持ってくるとは、スケールが大きいですね。
筆者はこの都々逸について、三千世界というのはおよそ300年続いた徳川幕府を示していて、カラスは徳川将軍を示しており、それを打倒してその後の世の中を謳歌したい、というような解釈をしていました。
まとめ
- 高杉晋作は辞世の句が有名であるが、2通りの句が知られており、どちらが正しいのかわかっていない。
- 下の句も存在しているが、こちらは女性家人が読んだもので、高杉本人が言ったものではない。
- 都々逸も有名であり、そちらは遊女にあてて詠んだもの。
助詞一つで意味合いがかなり変わってくるのが短歌の奥深さでもあります。