水を使った永久機関の歴史もまた古くからある。サイフォンの原理や、毛細管現象が発見されると、その特性から永久機関ができるのではないかと夢想された。また、科学者が登場してくると、水の循環などを説明するために永久機関のモデルが考えられた。有名なボイルの永久機関や、モデルとして考えられたベルヌーイの永久機関などが登場する。
水を使った永久機関
水を使う発想も自動車輪に負けずかなり昔からある。
サイフォンの原理?ヘロンの噴水
古代ローマ時代の1世紀ころ、ヘロンがさまざまな発明をして活動していた。
ヘロンの噴水は、厳密にはサイフォンの原理ではないが、似たようなトリックを使っておりぱっと見は永久機関に見える。
しかし、流れる水はしたの容器の中で途切れているためずっと循環するわけではなく、上の器からすべての水が下に流れてしまえば噴水は止まる。
ボイルの永久機関、ベルヌーイの永久機関
1685:パパン、管を使った永久機関。左右のくだの太さをかえると、水の重みが異なるはずだから、重い方に押される形で水が流れ続けるはずと主張、しかしこれは間違っている。管の太さを変えても、同じ高さで釣り合うのである。
17世紀:ボイルの永久機関・・・毛細管現象を使ったモデルとして有名なもの。毛細管現象によって吸い上げられた水が再び上から落ちる、と思ったらしい。実際は、そのような現象は起こらない。
18世紀初頭:ベルヌーイの永久機関・・・自然界の水の循環を説明するため、モデルとして永久機関を考案。異なる密度の液体を使うと循環が起こるとした。
ただし、これもモデルとしては単純すぎ、自然界の水の循環を説明することはできていない。
そのほかの水を使った永久機関
1827:コングリーヴ、スポンジとローラーの永久機関・・・水を吸った図ポン字の重さの違いにより、回転が続くはずだと考えられた。
1882:サトクリフ、ふいごと水槽の永久機関・・・これはなんと特許をとった例である。
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考察
・磁力の利用
磁力は永久磁石であれば常に遠隔で力を及ぼすことができる。これを利用して永久機関を作ろうと考えるのは無理からぬことである。しかしながら、引力で引き寄せられたものを引きはがすには、同じだけの力が必要であり・・・だから、このようなやり方でも永久機関はできないということに、人々は徐々に気づいていくことになる。
・毛細管現象の利用
布を水につけると、水が上に上がっていき、布全体が塗れる。これを発見した人たちはこれを利用して、永久に動く水車(永久に流れる水流)ができるのではないかと考えたのは無理からぬことである。しかしながら、上がった水をそこから降ろすことができず、この試みも失敗した。
・永久機関、特許をとりはじめる
科学革命、産業革命をへて、特許の制度が作られ始めると、永久機関を夢見るひとたちもふるって参加するようになったようである。上にあげた例でもわかる通り、特許出願が後をたたなかった。最終的に、永久機関といわれるものは論文発表や、特許出願がみとめられなくなる。特許制度がまだ未熟だったことをあらわすエピソードともいえよう。