19世紀に起きた、人類の永久機関史の中でも最大級の詐欺事件である「キリー・モーター」をめぐる事件についての年表。実際に彼のモーターを実用化するための会社が設立され、かなり大規模に金を失った被害者が出てしまった。実に浮かばれない話である。なお、そのモーターが実用化されることはなかった。
キリーの永久機関の詐欺事件
1873:ジョン・キリー、新しい動力を開発したと主張。・・・「水の分解」によって動力を得るという説明だった。
同時期:キリー・モーター社を設立、株券を投資家に売る。この時期にはマスコミによる熱狂もあった。
1881:ムーア夫人、キリーの協力者となる・・・ムーア夫人は金づるになってしまったある意味一番の被害者である
1886:キリー、「原子の間にあるエーテル」から動力を得ることができたと主張
科学者による検証
1895:物理学者がキリーの会社を調査。金属棒が中空であることを発見し、圧縮空気で動いていると主張。
1896:別の物理学者がマシンを調査。ところが、今度はきちんと動いていると評価される。トリックを見破れなかったらしい。
1898:キリー、死亡。罰されることなくこの世を去った。
1899:キリー・モーター社に詐欺の証拠が見つかり、法廷沙汰になる。
豆知識
・キリーの友人が後に語ったところでは、キリーに墓碑銘にどう刻んでほしいか問うたところ、「19世紀最大のペテン師・キリー」と刻んでほしいと答えたという。確実にわかってやっていたということか。
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考察
・キリーのトリック
キリーが動力の伝達に使うといった金属の棒は実は中が空になっており、これに圧縮空気を通して装置を駆動させていた。地下に空気のタンクがあり、研究所の柱などを通じて機会に空気を送り、モーターを回転させていた。
・なぜ科学者の追及を逃れたのか?
キリーはペテンを働いたが、かなり賢い人物であったことはほぼ間違いがない。また、手先が器用だったことも確実である。正当な物理学者が機会のトリックを見抜けなかったのを見ると、その辺の各仕方がうまかったのは事実であろう。
また、かなりの人物が株券を買うなどしてしまっていたため、もはや科学的にただしいものであってほしい、という願望が押し戻せなくなり、キリーがペテンであることほ考えられなくなってしまったのかもしれない。