工学の歴史【ルネサンス】-インゲニアトールとは

Pocket

 ヨーロッパの技術力が再び飛躍し始めるルネサンス期の工学の歴史。中世の技術者のギルドに縛られない、軍事技術者としてのエンジニアが台頭し始める。有名なダヴィンチが活躍するのはこの時期だが、彼にも参考にした先駆者がいた。

インゲニアトールとは
ルネサンス時代、15世紀に登場するのがインゲニアトールである。ギルドから離れ、 雇い主の要求こたえて軍事技術の開発をする技術者をインゲニアトールと呼んだ 。
彼らがつくる新技術をインゲニウム(ingenium)といい、これがエンジン(engine)の語源である。

中世ヨーロッパでは、「ギルドの規則に縛られると新しい発想でのモノづくりが自由にできない」という雰囲気があった。しかし、この時代の度重なる戦争で領主は柔軟な思考の軍事技術者を求めていた。その中から生まれたのがインゲニアトールであり、「責任や生活の保障は雇い主が持つから軍事技術たくさん作ってね」という形態である。
有名なインゲニアトール
・レオナルド・ダヴィンチ
・アグリコラ
\広告の表示・閲覧ありがとうございます!モチベ爆上がりします!/

年表

15世紀:インゲニアトール、インゲニウムの登場
1490:ジョルジオ、ミラノ大聖堂の建設

ミラノ大聖堂

1525:デューラー、「測定論」透視図法・・・彼は角の三等分に近似会を与えている。
15世紀:ダヴィンチの数々の発明、歯車などの機械要素、舞台装置など
1537:タルターリャ、技術と数学の結合
1586:ステヴィン、小数の発明
1556:アグリコラ、「デ・レ・メタリカ」を著す。・・・鉱山と金属についての本である。科学書ではあるが、棒で鉱脈をさがす、いわゆる「ダウジング」についての記述があり、この点ではまだ迷信的なものに影響されているともいえる。
16世紀:鉱山でのポンプの発展・・・ポンプは当時の最先端技術であった。

豆知識

・ ミラノ大聖堂の建築はダヴィンチも手伝っている。その時、ジョルジオから本をもらっている。

・ポンプの技術が発展したおかげで、人体の心臓がポンプであるという考えに影響を与えたという見方がある。

おすすめ

考察

・水車から鉱山機械へ
中世の最先端技術は水車などの水力で動く水車などであった。この時代には鉱山で使うポンプや、家畜を使って動かす機械が数多く登場する。鉱物の需要が高まって行ってことがうかがえる。この鉱山の発展が、のちの産業革命を生み出したことは言うまでもない。

・数学と技術との結びつき
この時代になって、ようやく技術と機械技術が融合を始める。別の言い方では、従来、作り手のカンなどに頼っていたものづくりを、数学的にとらえようとすることが始まった。(前の時代では、物理法則を記述するのがやっとであった)この時代には、まだ技術を完ぺきに記述することは到底できていないが、科学革命、ならびに産業革命に影響を与えたと言ってもよいかもしれない。