歴史に登場する最初期から中世までの永久機関の年表。おもに2つのタイプに分類される。一つは回転し続ける車輪であり、もう一つはアルキメデスのらせん揚水機を使った循環装置である。
永久機関を夢見る者たちよ、君たちはなんと長い間無用の長物をつくりあげてきたか。錬金術師と同じことをしていると早く悟るがよい。
-ダヴィンチのメモ
年表
5世紀:「シッダーンタ・シロマニ」著される。水銀を満たした穴を周囲につけた車輪。これを回し始めると動き続ける、と記載されている
13世紀:オヌクールの永久機関・・・回転する車輪に木槌がついている。これが反転してふちをたたくとまわり続ける。
15世紀:ダヴィンチの永久機関・・・こちらも回転車輪。モーメントを利用したもの
16世紀:ステヴィン、ひもとボールの思考実験
1618:フラッド、自動で回り続けるひき臼
1625:ズィマーラ、自ら起こした風で風車を回し続ける機関。
1648:ウィルキンズ主教、アルキメデスのらせんを使った永久機関。これについて考察し、動かないだろうと結論している。
豆知識
・ ダヴィンチの永久機関については、一つではなく複数のメモを残しているという。しかし、動かないことはわかっていたようであり、冒頭の発言のほかスケッチの傍に「なんとくだらぬプランを」、とメモが書いてあるという。
・中世では、車輪が摩擦に負けてしまっても、車輪を大きくすればいずれ摩擦に常に打ち勝つことができる(=永久に動き続ける)と信じられていたらしい。
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考察
・ダヴィンチのメモの真意
「なんとくだらぬプラン」をと書いたのは、彼が直感的に永久機関の不可能性を理解したからと推測される。少し後のウィルキンズ主教も不可能性を言い当てていることから、天才でなくとも考える頭があるひとなら、永久機関があり得ないことが理解できたものと思われる。
また冒頭の発言からもわかるように、彼は錬金術の不可能性も予見していた。
・中世以前に永久機関を考えた痕跡がすくないのはなぜか
まず、複数の構成要素から成り立つ機関の発展を待たないと、「永久に運動し続ける機関をつくれないか」という問題提起にたどり着くのは難しかったものと思われる。5世紀の例は極めて例外的なものと考えられるが、古代の研究所などを紐解けばもしかすると出てくるのかもしれない。
・車輪とひきうすの2タイプのわけ
車輪はもっともシンプルな装置の1例であり、これをずっと回せるようにする発想は着想しやすかったと思われる。ひきうすについても、すでに穀物の現場で実用化されており、それを永久にうごかしたいという欲求が浮いてくるのは比較的優しいと思われる。
このあと、磁力などの発見により、種類がふえていく・・・