本当にあった空飛ぶ蒸気機関の歴史について書きます!
歴史と考察
ガソリンエンジンで人類が飛行に成功する以前、蒸気機関で空を飛ぼうとする試みが繰り返された。結局、安定的な飛行と呼べるものは成し遂げられなかったが、「一応、浮いた」くらいの成果なら、実は得られていた。その失敗の歴史である。
発明発見の背景
始まりはウィリアム・ヘンスンの蒸気機関による飛行機の提案である。これは、当時の時代背景として、蒸気機関が日常で最もよく見られたエンジンであったこと、飛行機を作りたいという夢がまだ人類に残っていたこと、グライダー研究などの進歩で関心が高まっていたことが理由として挙げられる。なお、ヘンスンは途中までストリングフェローと共同研究していたが、資金難で途中離脱をしている。
一応浮いた飛行機
前述のとおり「一応浮いた飛行機」というのはなんと存在した。例えば、 1874年、タンプルの飛行機がある。これは坂道を滑走し、多少は浮きあがったという。しかし、これも飛行とは言えない。 1890年のアデール、エオル号の完成。これは10センチくらい浮いた状態で50メートルほど進んだようだが、飛行とはギリギリ呼べないだろう。エオル号は現在も保存されている。 1884年には、ロシアのモジャイスキー、3つのプロペラを持つ蒸気機関飛行機をつくった。これは浮いたが、墜落。 1894年にはフランスのマキシムが、4人乗りの蒸気機関飛行機の開発に成功。レールの上を滑走する方式。かなり浮き上がったが、ガードレールに激突して失敗している。
なお人が乗らない小型の模型であれば、きちんと飛ばすことができた。1853年にはフェリクス・デュ=タンプル、蒸気機関による模型の飛行に成功している。この後、人が乗れるサイズを作り始めた。
1890年代以降は、さすがに蒸気機関は採用されなくなり、ガソリンエンジンなどでの飛行が試みられるようになる。
発明発見の意義
蒸気機関で空を飛ぶことは叶わなかったが、ガソリンエンジンなどの燃料によるエンジンが進歩し、これらが蒸気機関と置き換わる形で飛行機が完成した。この意味では、エンジンが旧式だっただけで発想はあっていたと言える。
感想
・どうしても軽い蒸気機関をつくれなかった
蒸気機関飛行機の失敗は、突き詰めれば軽くて必要な出力を出せるサイズのエンジンを作れなかったことにある。蒸気機関では、絶妙なギリギリのところで人の重さ+機体の重さに打ち勝つだけのエンジンを作ることができない。若干浮いたものはあるので、もう少し開発すればありえたかもしれないが・・・
・現代ならできる?
蒸気機関はほぼすたれてしまったが、その後材料の進歩や機体の作り方に様々な進歩があった。もしかしたら、現代の技術で機体を作って、エンジンだけ蒸気機関にしたら一人乗り飛行機くらいはできるかもしれない。
豆知識
・ケイレーのグライダーの理論は、蒸気機関飛行機を作る際に活用されている。また、大きい翼一枚ではなく、中規模の翼を3枚重ねるとういう三葉機のモデルを作るよう助言したのはケイレーであった。
・1868年には世界初の航空博覧会がロンドンにて開催されている。この時点では、実際に飛べるものは気球を除いて一つもない。この博覧会で注目されたのはストリングフェローの三葉機であった。もちろん飛べないが。
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