生物多様性条約をわかりやすく解説

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1993年に発効した生物多様性条約について、知財の側面を解説する。それに応じて、この条約に関連した訴訟事例を解説する。

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生物多様性条約

条約の目的は?

知的財産の観点からは、8条の(j)項目が関係している。

これは生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関するもので、先住民の伝統的な知恵の保護と、そこから得られた知的財産のロイヤリティなどを含む先住民への知財の分配を決定している。

この条約に関連して、生物多様性などの知財を保護する目的でWIPOという組織が作られた。WIPOは伝統的知識が知られないことによる特許の付与を減らす目的で、伝統的知識の文献化をすすめている。

条約成立の歴史

1992年:地球サミットで各国の署名が集まる

1993:CBD(Convention on Biological Diversity)として発効。この条約の締約国会議をCOPと呼ぶ。

日本は1993年に締結した。

一方で、アメリカは署名したが、この時点で締結はしなかった。現在でもしていない。

生物多様性の裁判事例

サン族のサボテン

1937 :オランダ人の文献に、サン族が空腹を満たすのに食べるサボテン「Hoodia」のことがかいてあった

20世紀後半:南アフリカの研究者がサボテンから食欲を抑制する成分を発見し、特許化してライセンス。ダイエット用品への期待があった。

サン族が先祖の伝統知識が盗まれた、として訴訟を起こした。

2002:この商品のロイヤリティをサン族も受けとることで同意した。

インドのターメリック

数千年前:ターメリックのインドでの傷薬としての使用がはじまる。

1995 :ターメリック傷薬がアメリカで特許化

その後、1953年の先行事例があったので特許は無効になった。

ターメリックは日本ではカレーなどのスパイスとして有名である。また、二日酔いに聞くとも言われている。

ニーム油の薬効

1994:ニームという植物油で植物の病気をふせぐ方法が、欧州で特許化された。

2000年:伝統的な知識から容易に見いだせるとして無効になった。これはもともと、ニームオイルとして、虫よけに効果があることが知られていたらしい。

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