バイ・ドール法
アメリカ議会で制定された研究機関と特許に関する法案。大きくかかわった議員の名前にちなんでこの名前が付いた。
バイ・ドール法 |
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大学、非営利団体、中小企業が、政府資金を受けて行った研究の結果、発明した場合、その団体がその発明の特許権を保有する。 |
この法案を契機として、大学での産学連携が大きく進むことになり、アメリカにてベンチャー企業が生まれたり、企業などの技術開発が促進され、競争力を取り戻したと言われている。しかしながら、大学の利益相反や成果物の管理においての問題となる事件が起こることになった。
日本版バイドール法
日本でも、1999年にアメリカの影響を受けて、バイ・ドール的な法整備がなされた。「産業活力再生特別措置法第30条」というのがそれである。政府資金から生じた特許物などを民間企業などに委託することにより、成果の実施や、産業の生産性向上が期待される、とした。
利益相反の事件
アメリカと日本の事例を述べる。
1999:ゲルシンガー事件
1999年にペンシルバニア大学の遺伝子研究に被験者として参加していたジョン・ゲルシンガー(18歳)が死亡した。遺族が訴えを起こした。
この研究にはジェノボ社が資金を出しており、株式の供与などもしていた。この関係が臨床試験に影響していたのではないかという疑いが持たれ、利益相反の死亡事件として衝撃を与えた。
2003:和解が成立し、裁判所の見解が出ることはなかった。
2001~2002 :遺伝子スパイ事件
アメリカ、クリーブランドクリニックとハーバード大学で起こった、日本人研究者を巻き込んだ事件。
遺伝子の研究試料の管理に関し、経済スパイ容疑で日本の研究者がFBIに逮捕された。共同研究者との連携が取れず、日本人研究者は苦境に立たされた。最終的に司法取引が成立した。
研究期間に属するとするアメリカと、研究者の自主性に任せる日本の方針のギャップが根底にあったとされる。
日本でも、この事件後、厳格な管理を整備する方針がふえた。
2006:タミフルの異常行動
日本でタミフルの副作用が話題になった時の事件。タミフルの服用後の異常行動について、因果関係を調べていた研究者あてに、輸入業者から奨学寄附金という名義で1000万円が振り込まれていた。
その後、因果関係は認められないという報告書が提出される。
これを受けて、大きな金額を受け取った研究者は事故調査委員会に参加できないというルールが作られた。