永久機関File30:ズィマーラの風車!ふいごで風を出し、風車がふいごを動かし…

永久機関
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今回は永久機関Fileとして、奇想天外な「永久機関」ネタをお届けします。
なんと今回の主役は……風車

「え、風車ってあの風でクルクル回るやつでしょ?それが永久機関になるの?」
と思ったそこのあなた。今回はその先を行くんです!

なんと――
「風車で風を起こす」という、まさに自己完結型の夢システムを考えた人がいるんです!

それが今回の主役、ズィマーラさん!

ということで、いってみましょう!


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💨 ズィマーラの風車ってなに??

ズバリ言いましょう。

引用:https://steemit.com/science/@kelvanis/free-energy-in-future-perpetual-motion-machine-possible

ズィマーラの風車とは:

風車がふいごを動かし、そのふいごが風を起こして、また風車を回す

という、完全なる自給自足スタイルの永久機関です!

ちょっと待って!?!?
「自分で自分に風を送って回る風車」って、そんなことできたら人類エネルギー問題解決してない??

……ですよね?
でも、そう簡単にいかないのが永久機関の沼なのです。


🧑‍🏫 ズィマーラって誰?

まずは発明者であるズィマーラ(Mark Anthony Zimara)さんについて簡単に紹介!

  • 生没年:1460年ごろ〜1532年ごろ
  • 出身:イタリア・ガリポリ(※あのトルコのガリポリではなく、南イタリアの方)
  • 肩書き:哲学者、学者、論理学者
  • 活動エリア:パドヴァやサレルノなど、中世イタリアの学術都市で活躍

ズィマーラは、アリストテレスやアヴェロエス(イブン・ルシュド)などの注釈を多数残した、スコラ哲学の一大知識人です。

そんな彼が考えたのが、風車 × ふいご連動式永久機関だったのです!


🌀 ズィマーラの永久機関の仕組み

さっそくその謎の装置の仕組みを見ていきましょう!

① 風車が風で回る

最初に自然の風を受けて、風車がくるくる回転します。

② 回転運動が「ふいご」に伝わる

風車の回転が、ギアやカム機構を通じて「ふいご(送風装置)」に伝わります。
ふいごがパクパク動くことで、風を生み出します。

③ ふいごの風がまた風車に当たる!

ふいごから発生した風が再び風車に吹きつけることで、風車がまた回り続ける!

🎉 完成!自家発風式風力永久機関!!

いや〜、見た目は完全に理にかなってますよね!?
まさに「自分で自分にエネルギーを送り続ける」装置!

…と、ここまでは絵に描いた餅ならぬ、風に吹かれた夢。


❌ ズィマーラの風車、動くの?

ここが核心です。

答えは……残念ながら

動きません!!!!

なぜなら、世の中には恐ろしい法則があるんです。そう――

熱力学の法則さん登場!!(特に第1と第2)

🔹 第1法則(エネルギー保存則)

「出したエネルギーは、どこかから来てるんだから、勝手に増えないよ〜」

🔹 第2法則(エントロピー増大の法則)

「エネルギーって、一方通行でちょっとずつ使えなくなってくからね〜」


💣 なぜズィマーラの風車は止まるのか?

ここにこの永久機関の根本的な勘違いがあります。

ズィマーラの構想では、

  • 出力(ふいごからの風) → 入力(風車への風)に戻すことで、
  • 回転運動を無限ループさせようとしています。

でも現実では:

❗ 回転 → 摩擦・熱でエネルギーが減る

❗ ふいご → 空気の圧縮・放出にエネルギーが必要

❗ 風車 → 空気の動きの一部しかエネルギーに変えられない

つまり:

回る → ちょっとエネルギー失う → 次の回転は弱くなる → どんどん減速 → 止まる

という流れになるんです。


🌬️ 結局、自然の風の方が強い!

ズィマーラの装置は、結局、外からの風が最初のきっかけになります。

じゃあ、その自然の風を使って風車を回せばいいじゃん!
ふいごとかいらないじゃん!!

という、本末転倒な結論に落ち着くわけです(笑)


🤯 なぜこんな装置を考えたの?

ズィマーラはバカだったわけではありません。むしろ天才です。

当時(15〜16世紀)は、熱力学もニュートン力学もまだ存在していない時代。
人々は「自然の力をどうにか閉じ込めて、無限に使えないか?」と真剣に考えていました。

ズィマーラの風車も、そんな「永遠の動力源を求めるロマン」のひとつだったのです。


🧠 現代風に解釈すると…

ズィマーラの風車は、現代では「出力を入力に戻す型の永久機関」と分類されます。
英語では「Closed-Loop Perpetual Motion Machine(閉ループ永久機関)」と呼ばれることも。

こういった装置は、

  • 自分の出した力で自分を動かす
  • 自給自足のエネルギーシステム

という点でロマンに満ちてますが、理論的にも実践的にも不可能とされています。


✍️ まとめ

ズィマーラの風車は、風車とふいごを組み合わせて自分で風を生み出す永久機関という、非常にユニークな発想でした。

でも現実には、エネルギーの損失(摩擦・熱・空気抵抗など)によって、
どんどん動きが弱まり、永遠には回り続けることはできません

とはいえ、中世の学者たちが「どうにかして自然の力を閉じ込めよう」とした試みは、
今日の風力発電や再生可能エネルギーの思想につながっているといっても過言ではないかも?


📝 最後に:この記事の要約(箇条書き)

  • ズィマーラの風車は、風車とふいごを組み合わせた永久機関のアイデア。
  • 風車の回転でふいごを動かし、その風で再び風車を回す設計。
  • ズィマーラは15世紀のイタリアの哲学者・学者で、論理学の大家。
  • 仕組みはシンプルだが、摩擦や熱損失で動きはすぐに止まってしまう。
  • 「出力を入力につなぐ型」の永久機関は、理論的に不可能。
  • 結局、自然の風を使ったほうが合理的というオチ。
  • それでも、こうした発想は人類の科学的想像力を広げる貴重な試みだった。

今回も、永久機関の夢と現実をお届けしました!
永久機関シリーズ、次回もお楽しみに〜!

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