蜘蛛の糸を人工的に作ろうという試みは昔からあり、かつフィクションなどでも有名である。その最新の成分や歴史をまとめた。
蜘蛛の糸の成分と特長
強度 | 鋼鉄の六倍の強度 |
伸延性 | 30%以上、切れずにのびる |
再利用性 | 新しい網の80%はまえの網のタンパク質を利用 |
反発 | 飛んでいる虫は捕らえるが反動で糸から離れたりしない |
成分
成分はたんぱく質で、疎水性の硬い塊であるベータシートと呼ばれるものと、親水性ゆるやかなアルファ体と呼ばれるものが複合している。
このたんぱく質は巨大で規則的に並んでいるが、規則性がはっきりしていない。このタンパク質の遺伝子は巨大で、他の細胞などに導入すると多くが失われてしまう。
糸は体内では液体だが、糸を出す突起からでて個体になる、このとき酸性になる。
蜘蛛の糸の利用の歴史
服飾などの利用
パプアニューギニアでは、クモの巣を棒につけて漁業に使うことが昔から行われている。
1709:サンヒレール・ボン ルイ14世にクモの巣の手袋とストッキングを献上する。
同時期:レオミュール、1ポンド糸を使うにはには27468匹の蜘蛛が必要と計算した。
1876:中国からヴィクトリア女王へ蜘蛛の糸で作ったドレスが贈られる。
第2次大戦中:アメリカでは、距離計の十字線に蜘蛛の糸が採用された。
人工の糸の利用先は?
人工の蜘蛛は軍事利用のために主に研究されている。使いどころとしては、防弾チョッキや、橋梁など建築材が考えられている。蜘蛛の糸を編みこんで繊維を作れば、非常に軽くて丈夫な防具ができる。
人工の糸をつくる試み
1930代:クモの巣を真似た繊維を人工でつくる試みの開始・・・同時期に人口の繊維が作られ始めたのがきっかけ。
1970:遺伝子組み換え技術が発展し、遺伝子がわかれば、それを大腸菌などに移植することでたんぱく質がつくれることがわかった。蜘蛛の糸にも、応用できると考えられた。
1998 :大腸菌から短いクモの糸(五センチ)を生成することに成功
2002: ネクシアバイオテクノロジー社、軍の援助を受け、ヤギの乳から蜘蛛の糸を作ることに成功したと発表、バイオスチール(biosteel)と命名。
2003:軍が提携を中止
2003:フォスターミラー社、幹細胞でクモの巣をつくることを発表。
2004 :ネクシアバイオテクノロジー社、コスト面で蜘蛛の糸の製造を中止すると発表。
豆知識
・クモの巣はお湯をかけると縮むことが知られている。この性質も、人間は模倣できていない。