錬金術は否定されたものの、原子論の発展、研究機材の進歩により原子自体を加工できるようになってきた。これにより水銀から金を作ることに成功する。また、ホムンクルスを作る事例も似たようなこと(?)が起こった。
現代の錬金術年表
1896:ベクレル、放射線の研究、不安定な原子の存在があきらかに
1898:キュリー夫妻、ポロニウム、ラジウムの研究。アルファ粒子は元素変換であることを示す。
1919:ラザフォード、窒素から酸素をつくる、人工的な元素変換の成功
1932:チャドウィック、中性子、同位体の概念の説明
1941 :sherr、 Bainbridge、 Anderson、高速の中性子をあて、水銀を金の同位体することに成功。・・・ただし放射性であり、数日しかもたない。
1953:ユーリー・ミラーの実験・・・フラスコ内でアミノ酸をつくる。ホムンクルスを作る方法に似ている
1964:007ゴールドフィンガー公開・・・金塊に放射線を当てる、という描写がある。
20世紀末:「ハリーポッターと賢者の石」が発表される。・・・錬金術師としてニコラス・フラメルが登場する。
→実在する賢者の石の伝説
21世紀初頭:日本で「鋼の錬金術師」が連載開始。
豆知識
・この加速器で水銀を編成させて金を1オンスつくるには、全宇宙の富でもたりない。まったく億万長者にはなれない・・・。
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考察
・錬金術師が言い当てていた事実
金(の同位体)が水銀から作れるというのが、偶然とはいえ興味深い。金が作れるとするならば水銀がかかわっているはずだ、という錬金術師たちの直感は、まあまあ、あたっていたということになる。水銀を卑しい金属、中性子を賢者の石、加速器を錬金炉(アタノール)と考えると、寓意と一致する?!
ホムンクルスは、フラスコの中で作られるものだが、ユーリーミラーの実験でもフラスコを使って生命の生まれたと思われる状況を作って生命は無理だがアミノ酸の生成に成功しているので、何となく因縁めいたものを感じる。
・文化のなかで生き残った錬金術
科学としては権威を失った錬金術であるが、その神秘的なイメージからフィクションの中では生きのこることになった。ゴールドフィンガーを作ったスタッフには水銀から金の同位体を作った実験を知っていた人がいたとしても不思議ではない。
錬金術師たちも、登場人物などのイメージに参考にされることが多い。 長い間不可能を追い求めていた彼らも浮かばれるといっていいかもしれない。