錬金術師たちは金を作ろうとする段階で、金そっくりの見た目のものを作ることには成功した。これのうちいくつかは、科学実験として知られている。それらを方法とともにまとめた。化学実験の教材としてどうぞ。
化学反応で金色をつくる
もっともそれっぽい錬金術の方法。実際に実験をして化学変化を通じて金色を出すので、錬金術師たちの気分が味わえる。
亜鉛メッキ
水酸化亜鉛を使う、最もポピュラーな方法。メッキの作業を体験できる実験としても面白い。
1.亜鉛粉末をシャーレに入れ、それが浸る程度に水酸化ナトリウム溶液を加え、加熱する。
2.水酸化ナトリウムが沸騰したら、銅板を入れる。
3.銅板の表面が銀色になったら取り出してガスバーナーで軽くあぶる。
4.最後に水で冷やすと、表面が銅と亜鉛の合金でメッキされて金色になる。
アンチモンの燃焼
1.アンチモンをオリーブオイルにいれてあぶる
2.あぶったアンチモンを銅と一緒に金網の上に乗せる
2.それをバーナーでじかに熱すると、金色のものができる。
これは十字軍の書いた書類にも書かれている方法である。13世紀頃には金そっくりのものを作る方法が知られていたことがうかがえる。
似た物質の観察
金ではないし化学変化なども活用しないが、金そっくりのものを観察する方法がある。
硫化サマリウム
硫化サマリウム(SmS)は、黒い見た目の物体の場合もあるが、これをこすると表面が金色になる。
パイライト
パイライトは昔から、その見た目から「愚者の黄金(Fool’s Gold)」と呼ばれていた。見た目は金そっくりであるが、縞模様が形成されやすいという点で異なる。また、密度も違うので、同じ体積では重さで違いがわかる。
はじめから金を仕込んでおく
これは始めから少量の金を見えないように仕込んでおき、それらを露出させることで金ができたように見せるという、いわばインチキである。
ろ紙の燃焼
1.微量の金をろ紙に通して、ろ紙の中に金が隠れた状態にする。
2.これを燃やすと、ろ紙は紙なので灰になるが、金が露出してくるので、あたかも灰の中から金ができたように見える。