くりこみ理論は物理学で使用される手法であり、日本人の寄与が大きかった分野でもある。この記事では、わかりやすく噛み砕いた説明と、歴史を解説する。あと、1/12との関係を考察する。
くりこみ理論と1/12?
検索の予測候補に、くりこみ理論と並んで1/12が登場した。これについて調べてみると、解析接続という数学の手法と関連があるようである。
通常であれば発散する数列
1+2+3+4+・・・
は、解析接続という手法を適用すると、-1/12という有限の値をとるとみなすことができる。これが1/12の由来であるらしい。
これがくりこみ理論とどう関係があるのかというと、このように本来であれば発散してしまう計算結果に対して、数学的な操作によって発散を抑えるというのはくりこみ理論でも使われる。よって検索結果に出てきたものと思われる。
ただし、基本的な繰り込みの手法は次で説明するような方法である。
くりこみ理論のわかりやすい解説
くりこみ理論の入門的な使われ方は、質量と電子の電荷についての繰り込みの適用である。これは歴史的にも最初に試みられた。
くりこみの基本的な操作
理論計算では質量が無限大に発散してしまう電子について、実験で得られている質量に置き換えてしまうことで、発散を回避するというものである。数式で書くと、
a(b+m)という式があり、mの部分が無限大に発散してしまうときがある。この式について発散してしまう質量に関する部分を
a(m’)というように、実験でもとまる質量m’で置き換えてしまうのがポピュラーな繰り込みの適用である。
くりこみ理論のたとえ
くりこみ理論は、よく表計算ソフトなどにたとえられることが多い。
表計算ソフトで値段やテストの点数を管理しているとする。このとき、プログラムのバグで合計値が無限大になってしまったとする。プログラムに関してはわからないので原因を探るのは難しいが、実際に値札やテストの答案を見れば、無限大になってしまった部分を観測値で繰り込んで計算することは可能である。
くりこみ理論の効果
繰り込み理論は特殊相対性理論と量子力学を統合するときの発散問題を解決するのに強力な効果をもたらし、両者の統合を実現した。しかし、一般相対性理論と量子力学を繰り込み理論だけで解決はできなかった。
これを解決するための理論は現在でも研究されている。
くりこみ理論の歴史
電子の大きさの問題
電子に大きさがないとすると、電荷が無限大になってしまう、という問題から出発した。
ローレンツは、有限の大きさの電荷を考えたが、解決は困難であった。
1930年代には、クライン-仁科の公式にて、補正しようとすると発散してしまう紫外発散という現象が確認された。
1930年代末に、くりこみ理論の登場があり、発散してしまう部分も含めて定義し直すという方法が開発された。
朝永の活躍
戦後、朝永が、ラムシフトの研究で繰り込みの発展に尽力する。同時期にシュウィンガー、磁気モーメントの研究をした。
その後、クッシュ、フォリーによって実験的にくりこみ理論の正しさが証明された。
もともとは数学的な主王であったが、ウィルソンが、くりこみ群の発表をし、物理的な意味も理解されるようになった、
1965年には朝永、シュウィンガーがノーベル賞をとった。
1982 年にはウィルソンがノーベル賞をとった。