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18世紀に、「ずっと動き続ける時計≒永久機関」を実際に作り上げた男がいた。ジェームズ・コックスという時計製作者がその男である。ただし、もちろんエネルギー保存則に反するものを作ったわけではない。
永久機関といっても、大気圧の変化から水銀の荷重を移動させ、自動で時計のねじを巻き上げるというもので、厳密な意味での永久機関ではない。コックス自身、そのような永久機関をつくることは不可能だと理解するだけの分別はあったようである。
1760代:コックス、オートマタや機械仕掛けの時計を作り始める
1770年代:コックスの永久機関が完成。・・・ねじは一度まけば数か月はまかなくても動作した。また、ねじを締めるのに必要な力よりさらに強い力を取り出すことができたというのが驚きである。
1774:コックスの永久機関、博物館に配置される。・・・彼の作品を展示するために「コックスミュージアム」という建物が存在した。
1788:コックス、死去
1799:動く仕組みが論文で解説される
1830代:博物館の物品がオークションに出される。これがもとでコックスの永久機関が行方不明になってしまう。
1898:再び別の展示会に姿を現す
1961:ヴィクトリア・アルバート博物館に安置される。ただし、動いていない。
・コックスはほかにも機械仕掛けの作品を多く残している。オートマタがくっついたような時計や、複雑な装飾の時計などである。
・コックスの永久機関はガラスケースで公開され、だれにでも仕組みが見えるようにした。
・コックスの永久機関が動く条件
この仕組みが動作するためには、大気圧の変化がなければいけない。よって、宇宙空間では動かすことができない。このことからも、永久機関とはなりえないことがわかる。
・装置の安置と永久機関
コックスは合理的なシステムで実際に自動で巻き上がる時計を作った。しかし、盲点だったのが、装置が安置されないと、永久機関も止まってしまうという点であろう。永久機関の敵は、装置のシステム自体よりむしろ、装置が移動などで止めざるを得ない、あるいは壊れてしまうなどの危険かもしれない。
・コックスの明晰さ
ほかの永久機関技師とことなり、コックスは誰にでも仕組みが分かるように装置をオープンにした。また、金をとるようなことはしなかった。この点も、見る人が好感を持ったらしい。コックス自身も、エネルギーが生み出されるような永久機関は試みていないので不可能だと悟っていたのではないだろうか。