イギリスには思いついた兵器をとりあえず作ってみるDMWD(多種兵器研究開発部)という部署が存在した。この部署の珍兵器について解説する。あわせて、面白い戦車を製作していたホバーツファニーズについても解説する。
DMWDの珍兵器
DMWDは、Department of Miscellaneous Weapons Developmentの頭文字である。1941年に対空兵器の専門家などから設立された一時的な戦時中の機関。主に対空兵器や対潜水艦兵器の研究をした。思いついた兵器をとりあえず作ってみて試験をするという方針で有名。戦後は他の部署に合併された。
パンジャンドラム 1943
失敗兵器としてもはや世界一有名であり、多数解説が出ているので詳しくはそれらに譲る。
ネビル・シュートによって開発。海岸を自走して防壁を爆破する兵器として期待された。パンジャンドラムとは「お偉い人」という意味らしい。
車輪の演習にそったロケット噴射でころがり、詰まれた爆薬で自爆するというものだが、海岸ではまったく思うように直進せず、開発が打ち切られた。
ヘッジホッグ対潜迫撃砲 1942
潜水艦対策として、投網のように一度に接触式の爆雷を投下し、ひとつが当たると他も爆発するという仕組みにしたことで潜水艦を多く沈めることに成功した。ヘッジホッグはハリネズミの意味。見た目から命名された。
最大射程距離は259メートル、24連投ができた。
精密誘導が可能となるまでは、同様の仕組みは世界中で用いられた。
ホバーツファニーズ(ホバートおもしろ団)の珍兵器
この部署は、戦車の専門家だったパーシー・ホバートがつくった部隊で、奇妙な改造をして面白い戦車を作っていた。ニックネームとしては「動物園」などと呼ばれていた。
チャーチル・クロコダイル 1944
チャーチル戦車を改造し、砲弾ではなく火炎放射ができるようにしたもの。実際には、火のついた可燃物を飛ばすことで標的を燃やしていた。さらに、液体が飛び散ることで回りも燃えていった。この射程距離は100メートルもあった。ほかにも、75ミリ砲などの装備も持っていた。
心理的な影響は大きく、クロコダイルが投入されたと見るや降伏した敵兵士も多かったといわれている。
フレイル
鎖で戦車の前の道をたたき、地雷を爆発させて無効化しながら前進する、という戦車。このへんは上陸した後の迅速な部隊展開を想定した戦車作りの結果生まれたもののようである。
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