ゲーム理論の戦略ゲームにて、有名な戦略が多数生み出された。そのなかでも有名なのが「しっぺ返し戦略(Tit For Tat)」と「主人と奴隷戦略(master-slave)」である。ここでは、それらについて解説する。
囚人のジレンマの戦略ゲーム
囚人のジレンマを応用して、裏切りと協調によって獲得するポイントがちがい、これを複数回繰り返してポイントの代償を競うというゲームを考えることができる。
相手→ 自分↓ | 協調 | 裏切り |
協調 | (2,2) | (0,3) |
裏切り | (3,0) | (1,1) |
たくさんの戦略同士を戦わせ、どの戦略がつよいか、という研究が有名である。
しっぺ返し戦略
しっぺ返し戦略は、アクセルロッドの呼びかけでおこなわれた、おのおのの戦略同士をコンピュータプログラムにし、総当りで戦わせる大会をおこなったところ、優勝したのがこの戦略である。
1.最初に協調をとる。
2.相手が裏切ってきた場合は、つぎは自分も裏切り、相手が協調してきた場合は、次も協調する。
3.ゲームの終了まで2を繰り返す。
しっぺ返し戦略が強いことは一般にも知られているが、必ずしも万能な戦略というわけではない。
主人と奴隷戦略
2004年にしっぺ返し戦略を打ち倒すことに成功したのが主人と奴隷戦略である。これは集団戦略なので、個人ではできない。
主人と奴隷戦略の概要
1.あらかじめ決めておいた戦略のパターンによって最初の数回で相手が奴隷か識別する。
2.相手が奴隷だった場合は、主人が裏切り、奴隷が協調を選択し、主人に得点を稼がせる。
3.最終的に主人が多くの得点を得るので、1位を取れる。
この作戦だと、奴隷たちの側は一方的にポイントを失うので、順位が下のほうにたくさんたまってしまうという欠点がある。
現実に応用された主人と奴隷戦略?
昔はできた、という前置きはつくが、ネット上のSEOにおいて主人と奴隷戦略のような方法が有効だったときがある。これは、「サイトが他のサイトから多くリンクされていると評価が上がり、検索結果の上位に来る」という性質をうまくついたもので、多くの奴隷用サイトをよういして、主人のサイトに多くリンクする。このことで、主人のサイトの評価が上がり、上位に表示されやすくする、という戦略である。
こんにちでは、このようなSEO戦略は取れなくなっている。
しっぺ返し戦略より強い派閥戦略?
検索すると、「しっぺ返し戦略より強い派閥戦略」という予測候補が出てくるが、この派閥戦略のことは主人と奴隷戦略のことだと思われる(?)。
派閥戦略でしらべてもピンとくる戦略はなかった。英語でこれをしらべても(faction strategy?)、とくに該当する戦略はないようである。