発明裁判ファイル:ソフトフェライト

Pocket

日本が重要な貢献を早くからしていたソフトフェライトの研究。これは磁心につかわれる材料であり、これの研究では日本が独自の研究成果を出していた。また、実用化に関しても東京電気化学(現・TDK)が生産を開始していたが、そこに挑戦してきたのがオランダのフィリップスであった。

\広告の表示・閲覧ありがとうございます!モチベ爆上がりします!/

年表

1932:ソフトフェライト、武井、加藤の特許成立。東京電気化学が生産を開始

1941:オランダのフィリップス社、ソフトフェライトの特許

1945:終戦。海外の企業の特許に特例が設けられる。・・・フィリップスはこの仕組みを利用して同様の特許を申請した。

1949:突如、日本でも出願

1954:証拠をそろえ、無効審判

審判はTDKに有利に進む。

1956:東京電気化学、フィリップスとの和解を決定。相手特許を認める。

豆知識

・この結果を聞いた武井は憤慨しものを投げるほどだったという。

考察

・なぜ和解を受け入れたのか?
突然企業が和解を受け入れたおそらく最大の理由は、東京電気化学にメリットがあったからというのがあげられる。和解を飲めば、フィリップスの技術を格安で使うことができたからである。証拠などでは東京電気化学に有利に進んだが、企業の利益を最優先して、和解を受け入れたと考えられる。

・研究者と企業の関係
武井は自身の研究の独自性を踏みにじられたような気分になったであろうことは想像に難くない。このような一人の研究者と企業の思惑がずれることはしばしば散見される。