インターネット都市伝説界隈で、たびたび話題になる不思議な映像があります。
それが……「チャップリンの映画に映ったタイムトラベラー」という話。
ある日突然、こんな噂が流れ始めました。
「1928年公開のチャップリン映画に、携帯電話で話している人が映っている!」
え、1928年にスマホ⁉
そんなバカな話が……と思いきや、その映像を見て「たしかにそう見える!」と信じる人が続出。
動画は世界中でバズり、「未来人がタイムトラベルしてチャップリンの映画に映り込んだのでは!?」という都市伝説が広まりました。
でもその正体、じつはめちゃくちゃ地味で現実的なものでした──
そう、ただの補聴器です。
今回は、この“チャップリン映画に現れた未来人”騒動の真相に迫ります!
🎬 そもそもどんな映像だったの?
まずはその問題の映像から説明しましょう。
話題になったのは、1928年のチャールズ・チャップリンの映画『サーカス(The Circus)』。
……と言っても、本編そのものではありません。
タイムトラベラーが映っているとされたのは、この映画のプレミア上映の記録映像なんです。
場所はハリウッドのグローマンズ・チャイニーズ・シアター前。
人々が映画館の前を歩くシーンが白黒映像で収められています。
その中に、口元に何かを当てながら歩く女性の姿が。
その手の動き、耳に近づけた黒い物体……確かに、パッと見た感じスマートフォンで通話しているように見えるのです。
ネット民はこれに大騒ぎ!
「未来人がスマホで会話してる!」
「これは完全に時空を超えた証拠だ!」
「チャップリンも未来人だったんだ!」
……などなど、盛り上がる盛り上がる。
YouTubeや海外メディアでも話題になり、一躍“時空の旅人”騒動に発展しました。
🔍 正体は“補聴器”だった!?
でもこの「未来人説」、よく調べてみるとどう見ても非現実的。
というのも、1928年当時、当然ながらスマートフォンなんて存在しません。
そもそも携帯電話すら発明されていない時代です。
じゃあ、この女性が持っていたものは一体何だったのか?
その有力な答えが──補聴器なんです。
当時、アメリカではすでに補聴器の技術が進みつつありました。
特に「片手で持つタイプの携帯補聴器」は、1920年代には市場に出回っていたのです。
形は現代のイヤホンやスマホに似ており、片耳に当てて使うスタイル。
また、感度を高めるために“耳に当てて話す”ような仕草になることもしばしば。
つまり……
映像に映っていた女性は、単に補聴器を使いながら話していただけというのが濃厚なのです。
🦻 もう一つの説:「耳ラッパ」って知ってる?
さらに古典的な補聴器として有名なのが、「耳ラッパ」という道具。
これはラッパ型の金属を耳に当て、音を大きくするシンプルな仕組み。
見た目は今のメガホンを小さくしたような感じで、手に持って耳に当てて使います。
この耳ラッパが、映像の女性が持っていた物の候補とも言われています。
しかも、映画館の前という場所柄、たくさんの音が飛び交っていた可能性大。
つまり、聞き取りづらい場所で補聴器や耳ラッパを使っていた可能性は十分あるんです。
なぜ話しているように見えるのか?
もう一つ、重要な観察として、このタイムトラベラーといわれる女性が口を動かして話しているように見える、という点も見逃せません。
補聴器で周囲の音を聞いているだけなら、口を動かす理由はないはず、と考えることもできます。
以下では、その理由を考察していきます。
可能性①:独り言、あるいは「声に出して反応」している
耳が不自由な人の中には、聞こえづらい音を理解するために、自分の口で発音しながら確認するクセがある方もいます。これはリップリーディング(読唇術)や発話訓練の一環としても見られます。
また、当時の補聴器は性能が不安定だったため、
「今聞こえた音は“hello”だった?……hello……?」
のように、声に出して確認する癖を持っていた可能性もあります。
🧑🤝🧑 可能性②:すぐ近くに誰かがいて、そちらと会話していた
カメラのフレームに映っていないだけで、横に別の誰かがいた可能性も高いです。
つまり、こうです:
- 片手に補聴器を当てて音を拾いながら、
- 横にいる相手と普通に会話していた。
これは現在でも、耳に補聴器やイヤホンを装着しながら普通に会話しているシーンと似ています。
映像の構図が一人歩きしているように見えたため、「独り言+補聴器=未来人⁉」となってしまったわけです。
🤔 可能性③:完全な偶然、または映像の“誤解”
当時の映像は白黒で画質も粗く、動きも不鮮明です。
そのため、「話しているように見えた」だけで、実は唇を軽く動かしていただけ、ということも考えられます。
動画の再生速度やコマ数の関係で、“話しているように見える動き”が誇張されていた可能性も否定できません。
💭 なぜこんな都市伝説になったの?
ではなぜ、こんな一見地味な道具が、「タイムトラベラー」の証拠とまで騒がれる事態になったのでしょうか?
その背景にはいくつかの要因が絡んでいます。
✅ 白黒映像の“あいまいさ”
まず、白黒で画質が荒い映像というのは、それだけで想像力をかき立てます。
手元がはっきり見えないからこそ、「スマホっぽく見える」余地があるわけです。
✅ 現代人の“スマホ脳”
現代では、道を歩くときや人と話すときにスマホを耳に当てる姿が日常風景。
だから、過去の映像でも“それっぽい動作”を見たら、つい「スマホだ!」と思ってしまうのです。
✅ 「未来人だったら面白い」という欲望
人は「事実よりも、面白い話を信じたくなる」生き物。
タイムトラベラーなんて超ワクワクな話があれば、つい現実を無視してでも信じたくなっちゃう……。
そんな心理が、都市伝説を後押ししてしまったのかもしれません。
👓 まとめ:未来人じゃなかったけど、面白い!
というわけで、チャップリンの映画に現れた“タイムトラベラー”の正体は、
ほぼ間違いなく「補聴器」か「耳ラッパ」という、当時から存在していた道具だったというのが濃厚な結論です。
たしかに映像を見ると、未来人っぽく見える……その気持ちはわかります。
でも、冷静に当時の技術や背景を調べると、ファンタジーよりずっと地に足のついた話でしたね。
✅ 最後にポイントまとめ!
- チャップリン映画のプレミア映像に“スマホで通話してる人が映ってる”と話題に。
- しかしそれは、1920年代にあった携帯式補聴器の可能性が高い。
- さらに古典的な「耳ラッパ」も候補として有力。
- 映像の白黒画質や、私たちのスマホ慣れした感覚が「未来人」に見せていた。
- 口を動かしていたとしても、補聴器の使用、独り言、近くの人との会話、映像の誤認など複数の自然な説明が可能です。
- タイムトラベラーではなかったけど、“過去映像の見え方”が面白さのカギ!
未来人は来なかったけど──
私たちの想像力だけが、いつも時空を飛び越えてるのかもしれませんね!