オッカムの剃刀の反対・対義語3つを解説!「ヒッカムの格言」とは

哲学
Pocket

科学技術の分野でよく使われる、「最小限の仮定で現象を説明せよ」という原則、「オッカムの剃刀(Occam’s razor)」は有名であるが、その逆(対義語)である「ヒッカムの格言」を解説する。そのほか、2つほど反対の言葉がある。

\閲覧ありがとうございます!当サイトではリンク広告を利用しています/

ヒッカムの格言(Hickam’s dictum)

オッカムの剃刀の対義語として最もよく言及されるのがこのヒッカムの格言である。これは医学・薬学の世界で使われることが多く、この意味は

人が病気になるには、一つ以上の原因がある

ジョン・ヒッカム

というものである。ここから転じて、

現象を説明するのに必要な場合は、仮定は複数あってよい

ヒッカムの格言

という解釈をされることが多い。

ジョン・ヒッカムの略歴は?

ジョン・ヒッカムは、1940~70年代に活躍したアメリカの医者である。

1915:ジョンヒッカム、生まれる。

1946年:アトランタのグレイディ記念病院で医学スタッフになる。

1950年代:デューク大学の教員になる。

1958年~1970年:インディアナ大学の医学部長を務めた。

1970年:死去

なお後半のdictumは、言明、格言という意味である。

古代ギリシアにもあった!オッカムの剃刀の対義語

同じような考え方は、古代ギリシア、紀元前5世紀に既に存在していた。それがアナクサゴラスの「無限数の原理」である。これは同質要素体と呼ばれることもある。この意味は、

宇宙やあらゆる物質は、多種多様な無数の要素の混合によって生じる

アナクサゴラス

つまりここから転じて、

物事の原理原則は無数に存在する

無限数の原理

という解釈となった。

アナクサゴラス

なお、これに異を唱えた人物の中にアリストテレスがおり、彼は物事の原理原則は少ない方が良いという、オッカムの剃刀と同様な考えを残している。だからアリストテレスは4代元素説を唱えた。

反対概念の代表!天動説の「デフェラント」「エピシクル」「エカント」

オッカムの剃刀に反する概念として有名になったのが天動説(地球中心説)における「デフェラント」「エピシクル」「エカント」である。これはデフェラントが「大円」、後者2つが「小円」を表す言葉で、地球を中心にした場合に、惑星がデータに沿うように動くには数10個もの円を必要としたことに由来する。(厳密には対義語そのものというわけではない)

地球が中心だと円が多く必要

・デフェラント・・・惑星自体がうごく軌道の円
・エピシクル・エカント・・・惑星を取り巻く星の軌道の円

16世紀の地動説の誕生で、円の個数が減ったことで、そちらに軍配が上がった。オッカムの剃刀に反する事例として、しばしば引き合いに出される。

豆知識

・アインシュタインも「現象を説明する方法はシンプルな方が好ましい、しかし単純すぎてもいけない」と言っている。

・実はコペルニクスの段階では楕円軌道が明らかでなかったので、小円はいくつか組み入れざるを得なかった。

おすすめ

\閲覧ありがとうございます!当サイトではリンク広告を利用しています/
哲学