ワープはSFの作品で多く使われる現象である。これは理論的には可能であることが示されており、論文などで方法が提案されている。ここではその歴史と原理を簡単に解説する。宇宙船に用いる場合、ワープ航法ともいう。
ワープドライブの原理
ワープの原理としては、2通りの説明がある。
ワープの原理
一つのワープの原理は、ロケットの前の空間を縮ませてロケットを引っ張り、なおかつ後ろの空間を膨張させ、ロケットを押してやる。これを繰り返すことで一気に前に進む。超光速の波を作り、それに波乗りするようなイメージらしい。
もう一つの説明は、宇宙をテーブルだと考え、テーブルの一か所に切れ込みのような凹みをつくり、それを宇宙船と目的地を両端とするところまで引っ張る。そうするとテーブル上のながい往復をしなくても、目的地まで行ける。これは宇宙のトポロジーを変えずに近道できる。(つまり、空間にどんな穴もあけなくてよい。)
空間をゆがませるには
空間をゆがませるには、膨大なエネルギーが必要である。これは、人類が実用レベルまでいっている原子力・核力ではまだまだたりず、ブラックホールを制御するだけのエネルギー、あるいは反物質を大量に制作してコントロールするだけのエネルギーが必要である。
ワープの歴史
アインシュタインの一般相対性理論が発端となった。
物理での論文
ワープドライブの最初の論文が出されるのは20世紀後半であった。
1994:アルカビーア、ワープドライブしたらどうなるかを論文にする。エキゾチックな負のエネルギーを持つ物体を使うことで、トポロジーを変えることができる。
1990年後半:クラスニコフ、ワープにはあらかじめ経路を決めておく必要があると指摘。
2010年代:NASAがワープ航法の研究を検討
SFでの登場
「スタートレック」の中で、宇宙船エンタープライズ号が登場する。この宇宙船は空間をコントロールしてワープする。
「スターウォーズ」でも登場する。
なお、ワープの音響として特有の音が使われがちだが、宇宙空間では音は発生しないはずである。
実現するには?
将来的には、反物質をコントロールする技術を開発する必要がある。しかし、かなり進歩しないとできないので、相当先の未来になると想像される。現状では、実験室内で反水素を一つ作れたというレベルである。
あるいは、ワープをすでに実現している文明をもった宇宙人と接触すれば、その人たちに教わりながらの開発は可能かもしれない。
おすすめ
- 光の速さは1秒間に地球何周?7周半は嘘?マッハだといくつ?
- シュレディンガーの猫を簡単に解説!試すと答えはどっち?
- タイムマシンのつくり方【過去編】
- タイムマシンのつくりかた【未来編】
- アインシュタインvsボーアの思考実験対決
- 超弦理論は科学か失敗か?超弦理論への物理学者たちの批判
- くりこみ理論のわかりやすい解説-1/12との関係は?
- ブランス=ディッケ理論を詳しく解説!相対論より正しい理論?
- 逆立ちゴマ・回転タマゴの原理を簡単に解説!
- 相対性理論は間違っている?-論争・アインシュタインVSナチス
- サイクロトロンは原爆研究?戦後の破壊事件を詳しく解説!
- ニュートンのリンゴの話は作り話か?
- ガリレオのピサの斜塔実験の真相を詳しく解説!-空気抵抗の記録
- モノポールは存在しない?永久機関ができる?-検出・発見の試み
- タキオン検出の歴史-どういう原理で検出?
- N線の歴史-I線って?
- カルマン渦の音・対策について解説!
- ワープの原理を解説!‐物理のワープドライブとは?
- 逆二乗則が成立しない例-エネルギー、放射線など
- エーテルが検出されたことがあった?!
- 相対性理論を理解してる人は3人だけだった?この3人は誰?
- 放射光科学の歴史
- 物理学者の苦言まとめ―神はサイコロをふらない?!
- レーザーとメーザーの歴史