こんにちは、【永久機関シリーズ】、ついに第18弾まできちゃいました!👏
今回スポットライトを当てるのは――
ロバート・フラッドの「自動粉ひき車」!
「え、誰それ? 粉ひき車って何?」というあなた、心配ご無用。
17世紀ヨーロッパの科学史に残る、とっても不思議で、ちょっと切ない発明の話です。
テーマはずばり、
水の力で自動的に粉を挽き続ける機械=永久機関を作ろうとした男の夢
そしてその結末とは…?
👤まずはこの人、ロバート・フラッドをご紹介!
ロバート・フラッド(Robert Fludd)

- 生年:1574年
- 没年:1637年
- 出身:イングランド
- 職業:医師・哲学者・神秘思想家・錬金術師
とにかく、知識とロマンにあふれた人。
科学・数学・医学・神学・錬金術・音楽理論…あらゆるジャンルに手を出す、「ルネサンスの万能人」でした。
でも、彼の思考のベースにはいつも、
「宇宙は神の秩序で動いている。自然の力は活用できるはずだ」
という神秘思想がありました。
⚙️夢の永久機関:自動で動き続ける粉ひき車!
そんなフラッドが考案したのが、「自動で永遠に回り続ける粉ひき車」。
この構想がすごい!
✅ 基本の仕組み:

- 下にある水を「アルキメデスのらせん(スクリュー)」で上にくみ上げる(図の中央のらせん)
- 上に集めた水を落とし、水車を回転させる(図の左側)
- 水車が粉ひき石(ミルストーン)を動かす(回転軸が右に伸びており、仕事をする)
- 落ちた水を再びスクリューで吸い上げる(同じく中央のらせん)
- 永遠ループ!水で自動的に粉が挽ける!
つまり、水が循環し続けることで、永久的に働いてくれる装置を目指したんです。
しかも使ったのが、あのアルキメデスのスクリュー(らせんポンプ)!
アルキメデスのらせんとは:
古代ギリシャの天才アルキメデスが発明した、水を高い場所へ運ぶ装置。
円筒の中にらせん状の軸があり、回すと水が上がっていく仕組みです。
これを17世紀に応用するとは…フラッド、かなりイケてます。
🚨しかし…残念ながらそれは動かない!
さて、気になるのは「本当に動いたのか?」ですが――
答えは NO!😢
❌ 理由1:エネルギー保存則
- スクリューで水をくみ上げるには外部からのエネルギーが必要
- それを水車から得ようとしたら、そもそもエネルギー不足
- つまり、ポンプ>水車になることは物理的に不可能!
❌ 理由2:摩擦とロス
- ギア・らせん・水車、どれも摩擦でエネルギーが減衰
- ほんの少しずつでも、回転は確実に減速→停止
理論上は美しくても、現実では回り続けることはないのです。
🧠フラッド自身の“反省の言葉”
興味深いのは、フラッドがこの機構について後にこう語ったという記録が残っていること。
「私は自分の計算を過信していた。
実験を経て、自然界の法則は予想以上に厳格だと気づいた。」
つまり、自らの誤算をきちんと認めているのです!
これは当時としてはかなり珍しい姿勢。
多くの“トンデモ発明家”は、自説にしがみつくものですが、フラッドはその点、誠実な理性の持ち主でもあったんですね。
ちなみに、上のロバートフラッドの永久機関の図は、1660年に描かれた木版画です。
これが永久機関を描いたものの中では歴史的に広く出版された最初の図とされています。
意外と失敗した発明として歴史的な意義があることがわかります。
🔍永久機関という幻想に挑んだ人々
フラッドの他にも、さまざまな時代に永久機関を目指した人はいます。
- 中世の修道士が考えた「重りだけで動く時計」
- 18世紀の「磁石で回り続ける鉄球」
- 近代の「水銀流動モーター」など…
人類は、何もしなくても動くマシンに取りつかれてきました。
なぜか?
それは、単なる怠け心ではなく、
「自然の力を最大限に使えば、人間の苦労を減らせるのでは?」
という、技術と理想の融合を求めた夢だったからです。
💡フラッドの“失敗”が未来を照らす?
ロバート・フラッドの自動粉ひき車は、動きませんでした。
でも、そこに込められたアイデアは、エネルギー循環の発想として今も通用します。
- 水を使った動力 → 水力発電
- 水の循環 → 循環式冷却システム
- 自動で動く機構 → オートメーションの原型
科学とは、失敗の積み重ねによって進化するもの。
フラッドの“過信”は、むしろ後世への道しるべだったのかもしれません。
📌まとめ:ロバート・フラッドと自動粉ひき車
最後に今回のポイントを箇条書きでまとめ!
- 👨⚕️ ロバート・フラッドは神秘思想家であり、万能の学者
- 🌀 彼の発明「自動粉ひき車」は水をくみ上げ、水車を回す永久機関だった
- 🔁 使用されたのは「アルキメデスのらせん(スクリュー)」
- ❌ 現実では摩擦やエネルギーロスにより永続運転は不可能
- 🧠 フラッド自身が**「自分の計算を過信していた」と反省**
- 💡 その思想は後の科学・工学に発想の源として影響
✨あとがき:失敗こそ最高の発明材料
ロバート・フラッドの物語は、「できなかった発明」ではありますが、
その発想・探求心・自己反省の姿勢は、まさに科学者の原点。
永久機関は存在しない。
けれど、“限りなく持続可能なエネルギー”を求める気持ちは、未来の技術へとつながっています。