日本が国債を発行するようになってから、借金で破綻するという勘違いが日本に蔓延し、日本の発展にブレーキがかかった。しかしながら、国家は家計とは異なり通貨発行ができるので、これを将来世代の増税で返済する必要はない。:財政破綻論の外れ続けた予言
年表
財政破綻論を、法的・政治面、メディア・言論面、に分けて解説する。
法的・政治面での財政破綻論
1945:敗戦。GHQによる統治。この時の「日本を国債発行させないようにして貧国にする」という方針が財政破綻論の遠因になっているという指摘がある。
1947:財政法4条の発行。この中で公債の発行を抑えるような文面があり、財政破綻論の遠因になっているとの指摘がある。
1975:大平蔵相、赤字国債を発行。このことを自ら「万死に値する」と発言、勘違いの始まりである。
1982:鈴木首相、財政非常事態宣言をだす。マスコミのこのころからあおりが活発になる。
1982年2月:増税なき財政再建ができない場合は、政治責任をとる、と名言
1985:借り換え債の発行が開始される、サラ金財政論と揶揄される。・・・国民一人当たり80数万円の借金、といわれた。
これ以降、「国民一人当たり〇百万円の借金」「赤ん坊は生まれたときから〇百万円の借金を抱えている」という表現が多用されるようになる。
1995:武村蔵相、財政危機宣言。
1999:財務省設置法が公布。このなかにある「健全な財政」という言葉が、均衡財政という解釈をされ、財政破綻論の遠因になっているという指摘がある。
2002:プライマリーバランス黒字化目標が閣議決定される。これに説得力を持たせるため、財政は危機的な状況、との言説が強まった。
メディア・言論面での財政破綻論
1980年代から、財政破綻の言論や予言が席巻してきた。なお、財政破綻をうったえるような本を売り続ける行為を財政破綻ビジネスともいうらしい。:財政破綻論の外れ続けた予言
1988:「百兆円の背信 ドキュメント財政破綻」が出版。財政破綻の初期の本
1990年代後半以降:財政破綻本の出版ブームが到来。
2000年代:テレビでの国会議員の発言。国の財政がもたないと言っており、国会議員の経済レベルが垣間見られる。
2000年代:学校で使う経済の教科書や資料集にも、「国債発行で破綻する」という言説がのるようになり、生徒に破綻論を刷り込む。
2018:日銀破綻論の登場。財政破綻の嘘が反論されるようになったせいか多少の方向転換がうかがえる。
2017:生徒向けの講演で財政破綻論が披露されている映像
2019:財政破綻論を唱えていた議員の藤巻氏、落選する。・・・世論の風向きが変わってきたことをしめす事象である。
2020新型コロナ禍での財政をめぐる攻防
2020年:テレビで池上氏による誤った説明。借金という表現を使っている。
2020月11月:竹中氏が均衡財政の誤りを認めた。
豆知識
・大平蔵相は財政赤字について「一生かけて償う」とも発言しているが、その必要はない。なお、かれは1980年に死去した。
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考察
・財政破綻論の悪影響
残念ながら、家計に例えることによる説明は、日常的になじみやすく、勘違いが長引く原因となってしまった。これによって、無駄削減などのデフレ化政策からの転換ができず、失われた20年、30年が生まれてしまった。その意味で、非常に罪深い勘違いだったといえる。