地球が宇宙の中心であるという天動説は、聖書の根拠があったとは知られているものの、その具体的な内容についてはあまり知られていない。これについて詳しく解説する。
実は天動説の根拠は直接は書いてない?
天動説の根拠となるような、例えば「宇宙は地球が中心で、太陽がその周りを回っている」というような具体的な記載が聖書にあるわけではない。(このことは意外と知っている人もいる)
文書からの解釈により天動説は主流となった。この解釈のもとになった部分を聖書から引用して解説する。
聖書の天動説の根拠まとめ
天動説が正しいという解釈の元になった記述はいくつかある。以下の聖書の引用はすべてwikisourceより。
根拠1:創世記第1章
天動説の根拠は早くも聖書の冒頭の創世記に登場する。
地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた。
(中略)
神はおおぞらを造って、おおぞらの下の水とおおぞらの上の水とを分けられた。
神はそのおおぞらを天と名づけられた。
ここにある、地のほうが先につくられ、そのあと天、というながれから、地球が中心で、まわりを太陽などの星が回っているという解釈がうまれた。
根拠2:ヨシュア記第10章・・・ルターも天動説を支持
宗教改革で有名なルターも天動説を支持した。ルターが根拠としたのは以下のヨシュア記の記述である。
主がアモリびとをイスラエルの人々にわたされた日に、ヨシュアはイスラエルの人々の前で主にむかって言った、「日よ、ギベオンの上にとどまれ、月よ、アヤロンの谷にやすらえ」。
主が日、つまり太陽の回転を止めたのならば、地球が中心で太陽がその周りを回っているということになり、聖書には天動説が採用されていることの根拠になりうる。
根拠3:星の運動の記載
聖書には他にも星星の記載として「星が地球の周囲を回る」という描写が多数しるされている。このことは、素直に解釈すると地球が中心で、星がその周りを回っているというモデルになりうる。
天動説の終わり
天動説は教会の権威の高まっているうちは権勢を誇っていたが、天文学の台頭により最終的には否定されることになった。
コペルニクスがコペルニクス的転回つまり「太陽が中心で、地球がその周りを回っている」と主張。さらにガリレオ、ロバートフックなどにより科学的な証拠として年周視差が観測されたことにより、地球が動いていることが証明され、地動説のほうに軍配があがった。
1973年には、教皇ヨハネパウロ2世がガリレオの名誉を回復した。