モノポールは存在しない?永久機関ができる?-検出・発見の試み

これまで、モノポールが発見、検出されたという事例はいくつかある。もっとも、のちの検証で否定されている。それでも、「半分だけの磁石はないか」というのは科学的な夢でもある。その発見の試みをまとめた。

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理論的な発見

モノポールは磁石の半分、つまりN極かS極しかない磁荷である。これははじめは理論的な探求から考え出された。なおかつ、理論的には矛盾はうまれないことが知られている。

20世紀初頭:マックスウェルの電磁気理論。これは磁気に関しては双極子(N極S極が両方ある)ものであり、モノポールは使っていない。それでも、モノポールがあるとしても式を電荷、電流と同じように磁荷、磁流を書いてやれば問題はない。

左が現実のマックスウェル方程式、右はモノポールがあった場合。電荷について(上)は、どちらも変化はなし。

ディラックのモノポール

モノポール発見の試みを推し進めた理論は、ディラックによるものである。

1931:ディラック、磁気単極子の理論的予言。このなかで、モノポールが量子的な条件を満たしていないといけないと明らかにした。

ここから、「モノポールがあるなら電荷が量子化される」ということが導き出された。これにより電荷が整数倍しかないのはモノポールがあるから、という理由づけができ、モノポール検出がはじまった。

しかしのちにディラックも、「わたしはモノポールの存在を信じておりませんので」という発言をして、モノポールについての国際会議を招待されたものの欠席している。

ゲージ理論でのモノポール

自発的対称性の破れを含むゲージ理論では、モノポールが必然的に導出されることがわかっており、その理論が正しいなら発見される可能性がある。

今日でもモノポール検出が行われ続けているのは、このように理論的に存在が必要な場合があるから、という理由が大きい。

実験的発見?

はじめは天然のものから発見できないか試みられた。現在でも、存在が疑問視されていることには変わりはないが、検出の試みは継続されてはいる。

加速器や天然のものによる探索

20世紀:加速器による探索。モノポールを作り出そうとしたが、失敗。

岩石、泥、隕石、月の石、宇宙線などで探された。

この過程で、発見されたという報告も2、3つほどあったが、その後否定されている。

宇宙線での検出

今日では宇宙線からの検出が主流である。これは理論から、一年間に1000平方メートルで1つモノポールが降ってくることがわかっているからである。

1982年2月14:キャブレラ、超伝導コイルでのモノポール検出で、ディラックの条件に一致する変化を検出。

これはモノポール発見が発見されたかもしれないという、もっともはっきりとしたデータであり、ついに発見かと騒がれたが、これ以降、全く再現できなかった。これは、原因としては機械の振動や電気的なノイズなどが考えられる。

同時期にC.C.Tsueiも似たような事象を検出している。

モノポールで永久機関?

モノポールで検索すると、その予測候補に永久機関と出てくる。

結論から言えば、永久機関は出来ないと思われる。

理由としては、磁力で引き寄せられたものを引き離すには同等のエネルギーが必要なので、永久機関に必要な動きを取り出すことはできない。なおかつ、実際には引き離すときにエネルギーのロスが避けられないので、これは双極子の場合と特に変わらない。結局は磁力を利用した永久機関の失敗の試みと同様に、永久機関はできないと思われる。

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