カトリック教会が教えに反するとして禁書に登録した科学書が多数存在する。その扱いを受けた書物を年表で主なものをまとめた。ガリレオが有名だが彼だけではない。分野は物理学だけかと思いきや哲学、経済学など多岐に渡る。20世紀に入りさすがに科学の成果を言論封殺することはできなくなったので、禁書目録はその姿を消した。科学VS宗教の代表的事例である。
年表
15世紀半ば:禁書目録の収録方針が本格的に決まった
16世紀前半:コペルニクス、「天体の回転について」が禁書に
16世紀:ガリレオ、著作が禁書に
1657:パスカル、「パンセ」が禁書に
1758:ディドロ、ダランベール、「百科事典」が禁書に
1827:カント、「純粋理性批判」、禁書に
1856:ミル、「政治経済学の原則」が禁書に
1876:ドレイパー、「宗教と科学の対立の歴史」が禁書に
1956:最後の禁書目録の改定
1966:禁書目録の廃止
豆知識
・種の起源はセンセーションを巻き起こしたが禁書目録に載ることはなかった。
おすすめ
- 世界五分前仮説の否定は意外と簡単!?反論できない仮説の問題点とは
- 聖書にかかれた天動説の根拠を詳しく解説!
- 熱的死とは?いつ起こる?なぜ否定された?エントロピーと宇宙の終末
- カーゴカルトの現在-ファインマンとカーゴカルトサイエンス
- ノアの箱舟と地質学
- 『人間機械論』の要約
- 異端の扱いをうけた科学書まとめ-世界史における禁書目録
- カントールと無限と教会
- バチビウス-あらゆる生物の祖先?
考察
・著作が入っていない人
科学で業績を上げたにもかかわらず著作が載らなかった人もいる。これは編集方針として初めから無神論者だったり異端だったりとされた人は載せなかったということらしい。つまり禁書目録はキリスト教にあだなすものすべてを載せるというよりは、信者の中で間違った考えのものを禁止するという性質のものだったといえる。
・禁書に載りやすい特徴
おおよそのパターンとしては
・考え方に影響を与えるような哲学書
・聖書に反することが書いてある科学書
・性的な内容などキリスト教的に不道徳な小説
などが対象になった感じがある。考え方を封じ思考停止にするのはカルト宗教にもみられる特徴であり、宗教ならではかもしれない。「宗教と科学の対立」という書物が入っているのはそのまんまで面白い。
・ネットの時代にも禁書目録があったら
禁書目録が廃止された理由の一つに印刷物の量が膨大になりすぎて検閲ができなくなったから、というのがあるらしい。また、時代が下るにつれて勢力が小さくなっていった様子がうかがえる。(逆に科学の勢力はどんどん拡大)仮に20世紀で廃止されなかったとしても、もしネットの時代にまであったとしたら、いよいよ情報の更新速度に追いつけなくなって廃止されていたものと思われる。でも、百科事典が禁書になっているのでウィキペディアとか主なサイトは禁書目録(禁書サイト)に仲間入りしていたかもしれない?!