\閲覧ありがとうございます!当サイトではリンク広告を利用しています/
記録がくわしく残っているホムンクルスの作り方6つを全て集め、図を交えつつ年表形式で載せた。時代が変わっても共通点が多い。
一番有名なのはパラケルススのものである。
15世紀:パラケルスス
1.蒸留器に人間の精液、ハーブ、糞を入れる。
2.40日密閉し腐敗させると、透明で人の形をしたものができる。
3.毎日人間の血液を与え、馬の胎内と同等の温度で保温し、40週間保存すると人間の子供ができる。
1.薄い生地が熱いうちに2つの成形型に注ぎ込む。
2.若干冷却させる。
3.成形型を開けると、ほぼ透明で小さな二人の人形が出てくる。
4.大きさは4インチくらい、人間と同じ肉質だが、生き物ではない。
5.ヘルメスの血を与えると、テーブルくらいまで成長する。
これは目撃談を述べている珍しいケース。
1.オーストリアの男爵が10体のホムンクルスを実際に生成した。
2.ガラス製の容器に保存されていて、水中で生きている。
3.王、女王、・・・青い精霊と赤い精霊で構成されていた。
4.タツノオトシゴのように、浮かんでいた。
1.クリスタルガラスの容器を用意する。
2.5月の三日月の夜露と青年の血液を適量入れる。
3.1か月後に透明の液と赤い沈殿物ができるので上澄みを取り、動物の抽出液を加え、下の赤い沈殿物は過熱をしながら一ヵ月置く。
4.沈殿物が内臓や血管などを形成するので、それに4週間ごとに上澄みの液を振りかける。
5.4か月後に樹が生え、小さい少年と少女が生まれる。
17世紀:シェイクスピアの「ソネット集」に書かれたホムンクルスの作り方である。
1.極めて美しい男女が、ふたり揃って一度に誕生するとホムンクルスが生成される。
2.このホムンクルスの寿命は6年間。
「鋼の錬金術師」などのフィクションの影響で、人造人間を作ることは錬金術における近畿というイメージも広がっているが、史実ではホムンクルスが禁忌であるといっている書物や錬金術師は見当たらず、むしろ、人間の理解を進めるためにさまざまなところで研究されていた。近畿であれば秘匿されるはずだが、とくに秘密にしたりはしなかったようである。
・ラテン語でhomoは人間、culusは小さい、よってホムンクルスは「小さい人」の意味。
・ホムンクルスは、ゲーテの「ファウスト」にも登場するなど、錬金術的なイメージとしてよく用いられている。
・ホムンクルスは完成したのか?
ホムンクルスに関しては、基本的に科学的な記述に乏しい。ほとんどは哲学的なイメージに終始している。パラケルスス本人は、医学的な側面から生命の起源的なことに興味がわいたようである。ここから発展させて、生命体を自ら作ることで起源を理解しようとしたとも考えられる。作り方を見る限り、受胎と胎児の成長をフラスコのなかで再現しようとしたようにも考えられる。
・作り方に現れる暗号
上の作り方にはそのままの意味ではなく、暗号は寓意が含まれている。例えば、王や女王は金属の金や銀を表す。ヘルメスの血とは、錬金術師が使った何らかの液体状の物質を表しているはずだが、詳細は不明。
・パラケルススのちからをもってしても作れない
パラケルススは最も有名で力のある錬金術といってよい。彼の性格についていうと、パラケルススは誇大にものごとをいう癖があったとされる。このことから、賢者の石もホムンクルスも作れなかったと考えるのが妥当と思われる。