軍馬や武将の愛馬には、固有名詞がついていて今日でも有名な馬が多くいる。この馬の逸話などをまとめた。
古代
騎兵は古代からいたので、軍馬の歴史もそこから始まる。
ブーケファロス
アレクサンドロス大王の愛馬として有名。逸話では、ブーケファロスは暴れ馬として誰もが手を焼いていたが、若かりしころのアレクサンドロスが影におびえているだけと気がつき、ブーケファロスを太陽のほうへ向けておとなしくさせた。といわれており、それがきっかけでアレクサンドロスが乗るようになったらしい。
この馬はダレイオスとの戦いのときにアレクサンドロスとともに壁画にも描かれている。
赤兎馬
三国志にでてくる呂布の愛馬として非常に有名。「人中に呂布あり、馬中に赤兎あり」の言葉でも知られる。交易で得た汗血馬という説がある。物語では赤兎馬は呂布の亡き後、関羽の乗る愛馬になるという設定だが、史実ではそうではなかったらしい。
白馬従者
これは具体的な名前ではないが、こうそんさんにまつわる逸話として有名である。こうそんさんは白馬を愛しており、側近にも白馬をそろえて並ばせ、「白馬従者」として自慢していたといわれる。
バヤール
12世紀の古フランス語の武勲詩、『エイモン公の4人の子ら』に登場する。魔法の馬であり、伝説の存在なので実際にはいなかったと思われるが、モデルはカール大帝の軍馬だったのではとも推測できる。武勲詩では、バヤールは騎士ルノー・ド・モントーバンの愛馬として登場する。物語後半、ルノーはシャルルマーニュ(カール大帝)への降伏条件としてバヤールを献上することになるが、場ヤールは逃げたという話になっている。
中世以降
中世以降も戦乱の世の中では軍馬や将軍の愛馬が登場した。
帝釈栗毛
戦国武将の加藤清正の愛馬として有名。栗毛と名前が入っているので、実際に栗毛だったのだろうと予想される。帝釈とは仏教の守護神帝釈天のこと。体高は六尺三寸(一尺が10寸でおよそ30センチとすれば、180センチ)あったといわれ、大きな体だったことがわかる。
マレンゴ
ナポレオンの愛馬として最も有名。毛の色は白であり、この軍馬はダヴィッドが書いた有名なナポレオンのアルプス越えにも描かれている。
メアリー
軍馬は基本的にオスであることが多いが、メアリーは例外的にメスの軍馬である。南北戦争中に活躍し、その戦火を生き延びた。南北戦争後に死亡。その活躍により、銅像が立てられている。このほかにも、アメリカでは南北戦争で有名になった軍馬がたくさんいる。
ウラヌス(ウラヌス号)
西竹一の軍馬として有名。ロサンゼルスオリンピックにて障害とび声で金メダルを獲得した。名前が残っている軍馬で写真が残っているという珍しいパターンである。
しかしながら第二次世界大戦で西は硫黄島で戦死した。あとを追うようにウラヌスも病死したといわれている。
軍馬の衰退
軍馬は、第一次世界大戦までは騎兵の乗り物として利用されていたが、同時期に戦車が実用化され始めたことで、しだいにその役割を終えていく。今日では、戦場を駆けた馬がその名前をとどろかせるということはなくなったと見てよいであろう。
現在では、一応、輸送用などにに使用されることはあるようである。