カーゴカルト(積み荷信仰)は、第二次世界大戦で占領地の島々に生まれた新しい宗教の体系である。
物理学者のファインマンが興味をもったことでも知られている。それらの宗教の現在の様子をまとめた。
カーゴカルトの誕生過程
カーゴカルトは、以下のようなプロセスで誕生した。
占領軍が基地を作り、そこに積み荷が送られてくる。
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生産してないのに飛行機がきてくれる。
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先住民は「積荷は神か先祖が運んでくる、きっと空港では儀式をしているのだろう。」と思う。
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アンテナや滑走路の模倣をつくる。そうすれば、積荷を自分たちにももたらしてくれる。
現在も残っているカーゴカルト
バヌアツ共和国のタンナ島をはじめとして、いくつもの派生した種類があることが知られている。しかし、現在はほとんどの島ではカーゴカルトは廃れているといわれている。
現在も残っているカーゴカルト
ジョン・フラム信仰
ジョン・フラム、という人物を信仰の対象にしているカーゴカルト。あるいは、ジョン・フラム・アメリカというの野略ともされており、フラムは~からという意味なので、アメリカから来たジョン、ということになる。つまり、アメリカ軍人である。
この島でまだ信仰しているグループのリーダーはずっと再来しないジョンフラムについて、欧米人の取材をうけた時に「なぜずっと待っていられるのか」ということをきかれた。回答としては、「あなた方が2000年以上再来していないイエスキリストを待てるのだから、ジョンフラムも19年以上まてるさ」という風に答えている。なかなかウィットのある答えである。
最近まであったカーゴカルト
固有名詞があるもので有名だったもの。
トムネイヴィー信仰
こちらはトム・ネイヴィーという軍人を信仰の対象としたもの。ネイヴィーとあるので、海軍の軍人がご進退であることがわかる。
フィリップ王配信仰
1974に訪問したフィリップ王配を信仰の対象とするもので、額縁に入ったフィリップ王配の写真を御真影(?)としている。
ファインマンのみたカーゴカルトとカーゴカルトサイエンス
物理学者であるリチャード・ファインマンも、カーゴカルトを目撃しており、自身が書いた「ご冗談でしょう、ファインマンさん」に章を割いている。
これから発展させた概念に「カーゴカルト・サイエンス」があり、わかりやすく要約すれば、一種の疑似科学をさす言葉である。ファインマンはキャルテクでのスピーチでこの言葉を使った。
ぱっと身は科学の様式にのっとっているように見えるが、よく検討してみると穴があり実態としては価値のない研究のことをさすようである。これはカーゴカルトの飛行機が見た目だけ真似しているが、エンジンがないのでとびはしない、というのを比喩表現として用いている。
カーゴカルトサイエンスにならないようにするには、実験の方法と結果透明性を確保することが慣用であると考えていたようである。