バールベックの巨石は、非常に大きくて重い古代の石柱です。これはどのように動かしたのかという謎が残されています。ここでは、動かし方を考察するとともに、この謎の真相に迫っていきます。
バールベックの巨石の謎
バールベックの巨石は、レバノンで発見された古代に切り出された石柱であり、その巨大さはなんと最も長い辺で20メートルもあります。
重さで表現すると、実に1000トンにもなります。
材質としては石灰岩からできている一枚岩です。
よく写真付きで紹介されるのは通称「妊婦の石」と呼ばれるもの(上図)ですが、ほかにも複数の巨石が確認されています。
この巨石は1キロほど離れた石切り場で切り出され、そこから移動されたことはわかっています。
謎としては、古代の技術だけでどのように巨石を動かしたのか、という疑問が挙げられています。
また、ほかに言われる謎として「現代の技術を使ったとしても動かせない」といわれることもあります。
以下では、この真相として、バールベックの巨石の動かし方として考察できるものを解説し、さらに現代の技術でも動かあせないのかどうか確かめていきます。
バールベックの巨石の謎の真相を考察!
バールベックの巨石は、どのように動かされたのでしょうか。また、現代の技術で動かすことは可能なのでしょうか。
バールベックの巨石の古代の技術による動かし方
この動かすのが非常に難しそうなバールベックの巨石ですが、古代の技術を用いて人力でも動かすことは可能と考察できます。
なぜかというと、バールベックの巨石より重い巨石を、人力と原始的な道具のみで動かした事例があるからです。
その事例とは、1780年代にピョートル大帝の像(正式名称は『青銅の騎士』)を立てるための土台を動かした方法です。
この像の土台部分は、巨大な花崗岩が使われており、その重さは1600トンにも上ります。これはバールベックの巨石よりも大きく重い巨石です。
図を見るとわかるとおり、動かす原動力は人力で引っ張るのみです。
道具としては、木のそりのようなものを巨石に括り付け、その下のレールの上を滑らせています。
重要なのは、このレールの上にはボールベアリングと同じ仕組みの青銅製の球体が置かれており、摩擦を軽減することで非常に重い岩でも動かすことができます(下は拡大図)。
あとは、図のようにレールをもう一組用意して、一組のレールの上に乗ったらもう一組を前に接続するという動作をくり返します。
これをゴールまで順繰りに繰り返せば時間はかかりますが人の力だけで移動することが可能です。
実際にこの土台の石は、発見された場所から2年間かけてサンクトペテルブルクまで運ばれました。
非常にゆっくりと移動したことがわかりますが平地では1日に150メートルは移動できたという記録があります。
とすると、バールベックの巨石も、遅くとも数か月で石切り場から神殿まで移動することは可能であるように思えます。
「現代の技術でも動かせない」というのは盛りすぎ?
もう一つ、現代の技術でも動かせない、というのは本当かどうか考察してみましょう。
こちらに関しては、割とすぐに簡単に動かせるということがわかります。
現在の技術で作られている最も重いものを動かせるクレーンは、中国のズームライオン社で作られた『ZAT24000H』です。
これは2400トンのものまで持ち上げることができます。
なおかつ、車輪で移動できる全地形対応のクレーンなので、移動してものを持ち上げることができます。
したがって、バールベックの巨石の周りをクレーン車が搬入できるように整備し、クレーンを配置して動かせば、持ち上げたり移動したりすることは普通にできると考えられます。
まとめ
- バールベックの巨石は、古代に切り出された巨大な脊柱で、どうやって動かしたのかという謎が残されている。
- 古代の技術と人力のみで動かすには、青銅の騎士像の土台を動かすのと同じ方法、すなわちレールとソリ、その間のボールベアリングを使って移動ができると考えられる。
- 現代は2000トンを超える重量を動かすクレーンもあるため「現代の技術でも動かせない」というほどの重さではない。
実際に巨大クレーンで動かす実験とかやってみたら面白いかもしれませんね。