19世紀末には熱力学が発展した。そこから宇宙の熱についてもさまざまな予想がたてられることになった。とくに、熱力学第2法則によって、かえって「世界の終末」へと人々の想像をかきたてた。
宇宙の熱的死(Heat Death)とは?なぜ否定された?
熱的死とはなにかざっくり解説
宇宙の熱的死とは、熱力学第2法則から予測されていた、宇宙の終焉のことである。よく知られるように、宇宙のエントロピーは増大していく。これはごくざっくりといってしまえば、以下のようになる。
宇宙には太陽のようにあたたかいところと、暗い冷たい部分とがある。ねつはあたたかいところから冷たいほうに流れるので、最終的に宇宙の熱が均一になってしまうということである。また、機械的なエネルギーがすべて熱エネルギーにかわってしまうということでもあり、人工的な機械に対して利用することができなくなってしまう、という表現もされることがある。
いつ起こると予想された?
宇宙の熱的な死が予想されていた当時、当然のようにいつくらい未来に起こるのか、がおおまかn見積もられることはあった。これはばらつき画あるものの、短いものでも10の10乗の10乗(10^10^10)よりももっとかかるというふうに予想されていたようである。
熱的死の否定までの歴史
マタイの福音書に熱的死のような表現があることが知られている。「太陽は曇り~」みたいなないようである。
熱力学第2法則の確立
クラウジウス、エントロピーの定式化しかし、これにより「熱が枯渇する?熱的な死?」というように宇宙の熱的死が危惧されるようになった。
フィクションへの影響
1890年代には、「地球に熱的死が近づき、人類は赤道付近にしか住めず、赤道に集まっても熱がない」という世界を表現したSFが発表されている。
この時期は、熱的死の考えや科学によって解明されたことが「終末予想」的なものに影響をあたえたのか、世界の終末をあつかうSFがとても多くなった時期でもあった。
他の科学者の反応
1905年には、デュエムが、熱力学の法則は本当に宇宙にも適用できるのかという疑問を投げかけていた。
1911年には、有名なポアンカレが、太陽と星雲の熱の循環、という考え方を提唱している。
否定された熱的死
一般相対性理論が提唱されると、宇宙に対する考え方も転換され、熱的死は起きないという風に考えが変わっていった。宇宙観測の結果もこの考えを支持した。また、人類の危険として核爆発、人口増加のほうに着目がうつっていった。