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自己実現的予言、あるいは予言の自己成就は、社会科学で見られる現象として有名である。その概念の歴史と実例を年表でまとめた。実は日本のデフレの心理的な要因になっている。
自己実現的予言 |
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ある予言や期待がなされることによって、(それが間違っていても)予言に基づいて人々が行動することで実際にその予言が達成されるという現象。社会科学上の概念。 |
1928:WIトーマス、予言の自己成就についての最初の言及をする。この時はトーマスの定理といった。
20世紀半ば:、ロバート・K・マートン、「自己実現的予言」という用語を命名し、この概念の普及に最も影響を与えた。
20世紀後半:カール・ポパー、自己実現的予言と同じような概念としてエディプス効果を提唱。エディプスが予想したことが、その成就に影響したということから命名。社会科学だけでなく生物学などでも見られることを指摘。
「黒人は知能が劣っているので教育しても意味が無く、学力が低いまま」と信じられていた。
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意味が無いので、実際に教育がなされない
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教育がなされないので、学力が低いまま。
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やっぱり学力が低いままじゃないか、という自己成就を起こした。
もちろん、黒人だからと言って知能が劣るということはない。「白人より知能が劣る」思い込みを外したあと試験をすると、白人と同等の好成績をおさめるということが実験でわかっている。
このような事象は「ステレオタイプの脅威」といわれる。
1973:豊川信用金庫事件
高校生同士の会話で「信用金庫なんて危ないわよ」という冗談
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「豊川信用金庫の経営が危ない」という経営不安の噂になる
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豊川信用金庫が取り付け騒ぎに陥る。この例では、対応が功を奏したこともあり幸運にも破綻にまでは至らなかった。なお実際には経営は健全であった。
しかし、以下のように破綻寸前になり結果的に消えてしまった例もある。
1995:能代信用金庫事件
5月2日「能代信金が清算へ…」と一部で報道された
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この記事をきっかけに預金者が殺到。
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報道は事実無根と否定したが混乱を収拾できず約27億円流出。
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1997年:秋田県内の大曲信用金庫による救済合併という結果になり、秋田ふれあい信用金庫が発足。
日本は人口減少で経済成長しない
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外需を取るために、海外に投資が必要
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日本に投資がされない
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ほんとに経済成長しない
長期デフレ、そして少子化の要因の一つになった非常にやっかいな思い込みである。いまだに国民の多くはこの予言に縛られており、早急に方向転換が必要とされている。人口減少はデフレとは関係はない。
自己実現的予言は物語のプロットとしても使われることがおおい。
三人の魔女がマクベスに「マクベスが最終的に王になる」という予言
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予言に駆り立てられて、彼は王と彼の友人を殺す。
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彼が他人の血統による彼の継承を避けるために邪悪な行動をする
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それがあだとなり彼は革命で殺される
マクベスを下地にしているので当然なのだが、予言の自己成就が起こる。
・ロバートKマートンは社会科学の父と称される。