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これまでの記事では、何回かに分けてコンピュータウイルスの作り方を解説してきました。ここでは、コンピュータウイルスの歴史を解説します。世界初のものから有名なものまで、基本的に時系列でまとめました。(サイトの主旨からすると、むしろこちらが本編?)
コンピュータウイルスの作り方については、こちらから学べます↓
世界初のコンピュータウイルスとは何だったのでしょうか?
プログラミングという概念が生まれた直後から、じつは「システムに害を与えるようなプログラム」の存在は知られていました。
また、プログラマたちはそれらを考えたり、逆に回避策を考えることで技を磨いていたという側面もあるようです。
ですので歴史をさかのぼれば、「for文の無限ループ」なども、ウイルスといえなくはないわけです。
これには「ウイルス」という名称は使われていませんでした。
ウイルスという概念に名前を付けたのは、情報科学を専攻するフレッドコーエンでした。1984年のことでした。
これを作ったのは、コーエンが大学院生の時で、セキュリティカンファレンスで発表しています。
この中で、悪意あるウイルスのふるまいやどのような影響を与えうるかについて発表しており、ここがコンピュータウイルスの認識の生まれた時と考えてよさそうです。
以下では初期の有名なウイルスを紹介します。
これは初期のウイルスとして有名なものです。1987年にこの事件が起こりました。
内容は、電子メールとして表示され、そのクリスマスを祝うメッセージの表示を行った後に、パソコンの持ち主の連絡先を読み取り、連絡先にある人全員に同じ中身のメールを送る、という増殖をするものです。
この影響で、当時のトラフィックがいくつかパンクしました。
MacMagウイルスは、1987年に猛威を振るったウイルスです。これはパーソナルコンピュータが発達してきた段階で市場に影響を与えました。
このウイルスは「世界に平和を!」というメッセージが表示されるだけというものでしたが、このメッセージは全世界の35万台のマッキントッシュで表示されました。
なお、メッセージ標示後はこのウイルスは自分自身を消し去ってしまうので、あとは普段通り動いたようです。
しかし中には、密封されていたディスクに保存されていたある会社の製品プログラムに、ウイルスが混入していたという感染経路も確認されました。
密封されたものにもウイルスが発生することがあるという意味で、安全管理に影響を与えました。
世界一有名なウイルスとして一番先にあげられることもあるのが、1988年の「モリスワーム(Morris worm)事件」でしょう。
これは、初めて有罪判決が下ったことで一般にも広く知られることとなり、情報セキュリティの参考書などでも紹介されることがあります。
中身は、ロバート・モリスが書いたプログラムが当時発展段階だったインターネットを通じて席中に拡散された事件で、こちらもトラフィックに重大な影響を与えました。
このウイルスは攻撃目的ではなく、単にモリスがネットワークの脆弱性を実践的に確認するためにつくったもので、MITのネットワークから拡散されました。
このウイルスのコードには自分自身を複製するコードが入っていたこともあり、瞬く間に増殖し、拡散していきました。
この自己複製にかんしては複製の確率を大きくしすぎたコーディングミスという説もあるようです。
このあたりの歴史も科学技術の負の側面として教訓になると思われます。