ネウシス作図!定規・コンパスのみで角の三等分【動画】-作図可能な具体例

ネウシス作図という「グレーゾーンの作図」をすれば、角の三等分は不可能ではないことが知られている。ここでは、ネウシス作図の実例として角の三等分について解説する。三等分になっていることの証明も解説する。関連:角の3等分の方法が発見された?!

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ネウシス作図とは

基本的には、決められた線分の2点ABを定規に書いておき、定規をある点に当てておく。そこからずれないように滑らせて回転させつつABと同じ長さを見つけるのがネウシス作図の手法である。(角の三等分ではこれが必要になる)

これは目印になる2点が書かれた定規が必要とされるが、この2点をコンパスを定規に当てることで代用すれば、目印のない定規でも可能である。ようは二つの道具のあわせ技によってずるをするわけである。

ネウシスとは、ギリシア語で「~に向かって傾ける」という意味らしい。

角の三等分のやり方

ネウシス作図を使えば、定規とコンパスのみで任意の角度を三等分できる。

角の三等分の方法

1.二直線のなす角を中心として、コンパスで適当な円を書く。

2.コンパスはそのままの幅にして、定規にコンパスを沿わせて、離れないようにする。点Pに定規をあてがって、コンパスの2点が円と直線上に同時に乗る配置を、ネウシス作図をして探す。コンパスも定規と直線から離れないように左右に滑らせる動作する。(コンパスも滑らせるのは2点の目印がある定規を滑らせているのと同じことになる。)

※動画は少し斜めから撮影しています。

円周と直線の交点をネウシスの基準点として、滑らせながらコンパスの両端が直線と円周に同時に乗るような配置を探す。見つかったら、円周の側に目印を書いておく。これで、直線~交点~目印の距離は半径と同じになる。

(上ではセンチミリ目盛りがついた定規を使っているが、作図には関係はない。)

3.こうして点Qが得られるので、角QORを取ると、これがもとの角度の3等分となる。

鋭角の場合は、最初に角度を鈍角になるまで2倍などをして大きくしておき、三等分後に1/2にして元に戻せば得られる。

角の3等分になっている証明

2つの二等辺三角形が存在していることを利用する。案外、証明は簡単である。

二等辺三角形QOR(青線2本が等辺)より、角QOR=角QRO=φ、よって頂角OQR=180度ー2φ

三角形PORの外角より、角OPQ=φ+(180度ーθ)

二等辺三角形OPQ(半径と青線が等辺)より、角OPQ=角OQP=頂角OQR
よって方程式φ+(180度ーθ)=180度ー2φが成り立つ。

これをとけば両辺の180度が消え、φ=θ/3  Q.E.D.

ネウシス作図はなぜNG?

上で示したとおり、めもりや目印のない定規とコンパスのみを使ってもネウシス作図ができることをしめした。これにより、定規とコンパスのみで角の三等分をすることはまがりなりにも可能であることがわかる。

しかし、実際は、このような作図はルール違反であることは周知のとおりである。これは、定規とコンパスによる作図のルールが成立していくなかで形成されていったものである。作図の問題はユークリッドのころからあったようだが、それがギリシア、ローマと時代が下っていくにつれてルールができていったといわれている。

一部の数学者はネウシス作図を認めていたらしいが、しだいに、ネウシス作図も禁止されたらしい。「最終的には解が一意に定まるとはいえ、目視による滑らせの試行錯誤が必要であること」が直感的でないと判断されたと考えられる。もちろん目印を使っているのもNGの理由である。

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