ついに出ました――
ラスボス中のラスボス、「リーマン予想」!!!
「えっ、もう8番で出てきちゃうの?」って思うかもしれませんが、そうなんです。
ヒルベルト先生、1900年のパリで発表した23の問題の中に、堂々とリーマン予想を組み込んでいたんです。
今回は、この「誰もが名前だけは聞いたことがあるけど、ちゃんとわかる人はほとんどいない」最難関の数学問題を、ヒルベルトの問題の一部として見ていきます!
◆ リーマン予想って、そもそも何?
リーマン予想とは、ズバリこんな主張です:
リーマンゼータ関数の非自明な零点は、すべて実部が 1/2 の直線上に存在する。
う〜ん、やっぱり難しそう。そこで、もう少しかみ砕いてみましょう。
✅ リーマンゼータ関数とは?
数学者リーマンが定義した、複素数 z に対する無限級数関数です: ζ(z)=∑n=1∞1nz\zeta(z) = \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^z}ζ(z)=n=1∑∞nz1
この関数、1以上の実数 z に対してはちゃんと定義できるんですが、リーマンはこれを**複素数全体に拡張(解析接続)**しました。
で、その関数が 0になる点(=零点) に注目したのがリーマン予想。
- 「自明な零点」→ -2, -4, -6, … みたいな偶数の負の整数(これはOK)
- 「非自明な零点」→ こいつらがすべて実部 1/2 上にあるのか?っていうのが大問題!
◆ もっと簡単に言うと?
実はこの予想、素数の分布と深〜〜く関係しているんです。
- 素数の分布にはランダムなようで秩序あるパターンがある。
- その“秩序”の中枢にいるのが、ゼータ関数の零点たち。
- もしすべての非自明な零点が1/2直線上に並んでいたら、素数の分布が“ある意味で完璧に”理解できることになる!
なので、リーマン予想の解決は、
「素数の秘密を完全に解き明かすカギ」
とも言われているんです!
◆ ヒルベルトの問題としての意味とは?
ヒルベルトは1900年、パリの国際数学者会議で「これからの数学が取り組むべき23の問題」を発表しました。
そしてその中に、
「リーマンのゼータ関数の零点についての仮説(=リーマン予想)」
を第8問題として堂々とリストアップ!
しかもこの第8問題、一つじゃないんです。
- リーマン予想
- 素数の間隔の問題
- ゴールドバッハ予想
など、**いわば“数論の難問詰め合わせパック”**みたいになってるんです。
その中でも中心に据えられたのがリーマン予想。
ヒルベルトは「これは100年経っても残る」とは言わなかったけど、実際に100年以上解決してません!
ヒルベルトが死後も気になる問題に上げていた?!
多少話は横にそれますが、リーマン予想に関しては、以下のような逸話が数学界では有名です。
「もし死後に目覚めたら、まず“リーマン予想は証明されたか?”と尋ねるだろう」
これはヒルベルトの発言、という風に語られることもあります。
しかし真相は、
アティヤ(Sir Michael Atiyah)による引用または脚色で有名になった説が有力です。
ただし、このフレーズ自体が誰の発言かを明確に特定する記録はありません。
多くの資料やインタビューでは、複数の数学者に帰属されていることがあり、「ヒルベルトの言葉」として語られることもたまにありますが、信頼できる文献ではヒルベルト自身の発言とは確認されていません。
ヒルベルトがリーマン予想を重要視していたことは事実ですが、「死後に目覚めたら〜」という形式の発言は彼の記録に登場しないのです。
このフレーズは、現代の数学者や科学者がインタビューなどでリーマン予想への情熱を語る際によく使う“詩的なたとえ”の一つになっています。
◆ 解決までの道のり:まさに登山というより“無限迷宮”!
リーマン予想の恐ろしいところは、
「証明されてないのに、なぜか正しそうなことがどんどん示されていく」
という点です。
- 数億個の零点をコンピュータで調べた → 確かに全部1/2上にある!
- でも「無限にある零点すべてがそうである」ことの証明はまだ……
- しかもちょっとした「ゼータ関数の性質のズレ」が、素数全体の分布に大きな誤差を生む!
つまり、わずかなズレも許されない超精密世界なのです。
◆ 誰が解決した?→誰もしてません!
はい、ここでバッサリ言います。
リーマン予想は、2025年現在、未解決です。
ただし、「誰も解決してない」とはいっても、「誰も何もしてない」わけじゃありません。
◆ それでも……部分的な進展はある!
たとえば:
- クリティカルストリップ内にあることは確定(零点は 0 < Re(z) < 1 にある)
- 多くの数学者が、「零点が 1/2 からずれていたらこうなるよ」という“もしも話”を山ほど検討
- ランダム行列理論や量子カオスとの意外な接点も発見!
つまり、「正しそう」「いや、これどう見ても合ってる」ってことは山ほどわかってるのに、なぜか証明だけが出ない。
それがこの問題の怖さです。
📌 リーマン予想が「正しいと仮定した証明」が山ほどある!
リーマン予想は未証明であるにもかかわらず、現代数学では、
「リーマン予想が正しいと仮定すれば、Aが成り立つ」
「リーマン予想が真ならば、Bの誤差がこの範囲に収まる」
という形の定理や推論が、本当に山のように存在します。
それらの中には、素数の分布、暗号理論、整数論的関数の挙動など、非常に多くの応用が含まれていて、
すでに「リーマン予想は(証明されていないのに)“前提条件”として使ってOKな常識」とすらなっている場面もあります。
しかし――
もしも、リーマン予想が偽だったら?
そうなれば、こうした「予想を前提にした証明」は、根底から崩れ去る可能性があるんです。
まさに、数学界にとっての“大地震”のようなインパクト。
いわば、今の数学は「正しそうな前提の上に積み上げられた超高層ビル群」。
その地盤が崩れたら……ゾッとしますね。
◆ コンピュータがもたらした成果
ここで重要なのが、近代以降のコンピュータの助け!
- 何億個ものリーマンゼータ関数の零点を計算し、全部 1/2 上にあることを確認
- 数値解析・高精度浮動小数点演算の極限に挑戦
中でも、ATLAS Project や数学者の Odlyzko(オドリツコ)による計算は超有名。
現代では、ゼータ関数を計算するための専用アルゴリズムまで開発されているほどです。
とはいえ、コンピュータが何兆個確認しても、それが「無限」に通じるわけではない。
だから「証明」にはならないんですね……数学は厳しい。
◆ 第8の問題が残したもの:多すぎる!!
リーマン予想という未解決問題は、結果的にものすごいインパクトを数学全体に与えました。
たとえば:
- 数論、解析、代数幾何、さらには物理まで巻き込んだ大きな研究分野を生み出した
- ゼータ関数をめぐる膨大な理論(L関数、保型形式、モチーフなど)が発展
- 数学者たちのキャリアの行き先をまるごと変えるほどの吸引力を持っている
- クレイ数学研究所の「ミレニアム懸賞問題」にも選ばれ、解いたら100万ドル!
何よりこの問題があるからこそ、
「まだ数学は終わってない」
という希望とロマンがあるわけです。
🔍 本文の要約(まとめ)
- ヒルベルトの第8問題の中心は「リーマン予想」。
- リーマン予想は「ゼータ関数の非自明な零点はすべて実部1/2上にある」という未解決問題。
- ヒルベルトは数論の根幹問題としてこれをリストに入れた。
- 数多くの進展があるものの、証明には至っていない(2025年現在)。
- コンピュータによる数値的検証は膨大だが、「証明」ではない。
- 派生的に数論全体が大きく発展し、現代数学をけん引する存在に。
- ミレニアム問題にも選ばれ、解決には賞金100万ドルが設定されている。
次回は第9問題!またしても数論ですが、ちょっと別の角度からアプローチしていきますよ〜!
「帰れま23」まだまだ続く!ぜひ最後までお付き合いください!