ナチスドイツの珍兵器シリーズとして、飛行機や空飛ぶ新兵器をまとめる。この中でも、実際に作られたもの、配備されたもののほかに、構想のみで終わったものがある。また、その発想のうちいくつかは、戦後の飛行技術のさきがけとして役立ったものがある。
実際に作られたもの
試作で終わったものがほとんどで、役立てられることはあまりなかった。
Bv141偵察機
偵察機の視界を180度確保するという要望をうけて、ブローム・ウント・フォス社が提案したもの。小重責を片側の主翼の付け根辺りに設置するという、奇妙な見た目になった。
意外にも、飛行性能は申し分なく、パイロットからも好意的だった。しかし航空省は不評の態度を崩さず、エンジン出力をあげた改良機が不安定とわかると、不採用を通達した。
Ba 349 ナッター
ロケット兵器として開発される。垂直に打ち上げ、およそ30連装のランチャーで敵の爆撃部隊を打ちまくるという攻撃方法だった。その後、パラシュートで急停止した勢いで座席が前に飛び出し分離され、さらに人体のパラシュートで降下するという脱出方法だった。
機体はほぼ木でできており、着陸の装備はなし。有人テストでは死亡者が出てしまったが、開発は続けられた。ただし、実戦配備の前に終戦した。
構想のみで終わったもの
ゼンガー
終戦間際に大逆転を夢見て構想された長距離爆撃機である。
驚異的な高度と高速でアメリカ本土に飛んでいき、大量破壊兵器をアメリカに落とす、というのが目標で、これは「シルバーホーゲル計画」といわれた。計画の中心がオイゲン・ゼンガーという研究者で、彼の名前にちなむ。
最終的には地球を半周い、同盟国の日本が支配する南方の島に着陸する予定だったが、さすがに当時の科学力では不可能だった。
トリュープ・フリューゲル
ナチスの変わった飛行兵器のもののうち、もっとも有名なフォルムをしている。広い滑走路のない馬首でも浮上できる兵器が必要だったので考案された。
ラムジェットエンジンで機体の回りの主翼をまわし、ヘリコプターと同じ原理でその場で浮上し、機体を傾けて前方向に飛んでいく。
フォッケウルフ社の考案で検討されたが、アイディアが奇抜すぎて作られないまま終戦を迎えた。しかし、戦後のVTOL機に影響を与えたともいわれる。
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