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経済政策の理由づけとして挙げられることがあるトリクルダウンについて年表で振り返る。「富裕層を優遇し消費させることで貧困層にも恩恵がいきわたる」というのが基本的な思想だった。いまでは、トリクルダウンは基本的には起こりにくいことがわかってきている。
語源のトリクルダウンはシャンパンタワーとして知られる。パーティなどでつくられるグラスを重ねてシャンペンを継ぐ催しである。
1932:ウィル・ロジャースがコラムで言及したのが最初といわれている。いわく「貧しい人々にお金が滴り落ちることを期待して、お金はすべて上位層に割り当てられた」。ここでは明確にトリクルダウンの様子がたとえとして述べられており、語源となった。
20世紀:経済学者アーサー・オークン、イノベーションによって生まれた価値は人々にもしたたり落ちると述べた。
じつは、経済学者によってトリクルダウン理論が提唱・構築されたことはほぼなく、政治家によって考え出され実行された結果、広まったというのが実像に近いらしい。
2015:国際通貨基金の研究者による論文で、金持ちに優遇してもトリクルダウン効果はないと結論付けられた。むしろ否定論が強まってきたことを示す例である。
レーガノミクスは大幅な減税を含み、トリクルダウン経済学の代表例として知られる。すべての所得層で減税が行われたが、最大の減税は最高所得者に対してだった。結果としては、経済はそれ以前から続いていた下降傾向から期待されたほど上向くことはなかった。
もともと3本の矢として、金融緩和、財政出動、構造改革をかかげていた。このうちトリクルダウンは構造改革としての大企業や富裕層に対する減税政策があたるが、結局、貧困層にまでしたたり落ちることはなく、実質賃金はむしろ下がった。また消費増税をしたことが追い打ちとなった。
・お金の使いどころ
富裕層は全てを消費に回すわけではなく、不動産に投資したり、株などに投資して金融での利益を目的にお金を使うことになる。したがって結局、富裕層が消費にお金を使うことで貧困層にも利益がしたたり落ちる、などということはない。
・内部留保をためる動機になる
株などの配当金を優遇すると、株主は富裕層がおおので、富裕層に対して株配当を還元するために内部留保をため込むことが妥当になる。これにより、貧困層の給料には反映されないので、利益がしたたり落ちる、ということは起こらない。