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聖書に書かれているノアの洪水の話は、地質学によって破綻していく。また、生物を全部一つの大きな船に乗せることができるのかという疑問などが沸き起こり、キリスト教の関係者がその解説に四苦八苦した様子がわかる。その歴史の年表である。
始めはもちろん、聖書の内容が真実だと思われていた。
紀元前:旧約聖書、創世記にノアの方舟の話が記述される。
ノアの洪水伝説 |
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かつて人類は神の怒りに触れ、洪水によって一度滅ぼされたという話。このときまじめだったノアは洪水を事前に知らされ方舟を作り、それぞれの動物をつがいにして乗せることで洪水を生き延びた。 似たような洪水伝説は世界各地にある。 |
19世紀頃まではこの洪水伝説が一般にも信じられていた。
科学者がおもに化石をもとに洪水伝説に反証し始めた。ただし、初めは化石の解釈についても誤解が多かった。以下は研究者の発言であるが、今から見ると間違っていることがわかる。
2世紀:テルトゥリアヌス、化石は洪水の証拠
16世紀:アグリコラ、化石は地中で成長する
1676: キリニ、化石は海中での結晶化である
1677 :マシューヘイル、化石は海に置き去りにされたのと自然の遊び
1667 :ミリウス、泥は動物を生産する
科学の発展にともなって、科学者から聖職者に対し、「聖書の記述は間違っているのでは」という仮説の根拠となる質問が多数投げかけられた。しだいに聖職者が不利になっていく様子がわかる。それらをまとめた。
全地球が水没?水の量は?
水はどこに消えたのか?
この水の量の問題には、聖職者ははっきり解答できなかった。
ナマケモノは2万年かけてアララト山から南米へ?どうやって海を渡ってほかの大陸に渡ったのか?
カンガルーはオーストラリアにしかいないが?
淡水魚と海水魚の違いは?淡水と海水が混ざるということは、魚はしんでしまうのでは?
これらの反論としては、アウグスティヌスが「ラバとか雑種は乗せる必要はない、魚はのらない、昆虫は自然発生するはずだ。」と答えている。
のちに、化石は古代の生物の痕跡ということがわかり、洪水で死んだわけではないということが判明する。ダヴィンチも化石について古代の生物の痕跡という正しい洞察をしていることが知られている。
箱舟は本当に十分に大きかったの?300クデ×50クデ×30クデ(クデは古代の長さの単位)ではすべての動物はのせられないのでは?
1809:ジャンアンドレドゥリュク 地質学要論
1675キルヒャー 洪水のあと、種がふえた
19世紀末:ジョルジュ・スミス「洪水は伝説の翻案」と発言。
18世紀:クレイトン司教 「ノアの洪水は事実ではない」と折れた。
1925:ノアの洪水は相対的事実という発言。
19世紀には、ハックスリーが以下のように言っている「ノアの箱船はうそだということは今日では広く知られるようになったが、私が若い頃はそうでもなかった」と。
ハックスリーは進化論で有名な学者であるが、地質学においても、ちょうど宗教から科学が主導権を握る過渡期に生きていたということがわかる。
1830にライエルが、「地質学原理」という科学の本を書いたが、ノアの洪水をひいている。あくまで教科書の導入として使われ始めたのがわかる。