映画「ラストサムライ」のラストシーンでは、刀ややりを使った旧式の侍と、新兵器を備えた新政府軍の戦いが描かれ、時代の変わり目を演出している。これにはモデルになったと言われる佐賀の乱、神風連の乱などがあった。
佐賀の乱
これは佐賀藩の資料でも「器械戦争」と形容されており、大量の弾薬や砲弾が消費された様を形容しており、旧式武器から新兵器へという過渡期の戦いとしてはもっともはげしいものだった。ただし、双方の武器に銃器があった。
1874 :佐賀の乱、勃発。佐賀の志士たちが佐賀の鎮台を襲撃
鎮台側 | 反乱側 |
スナイドル銃 15万発 エンフィールド銃 11万発 大砲 400発 | 小銃 30万発 |
3月1日:佐賀奪還、乱の終結
鎮台側 | 反乱側 |
戦死 184 負傷 174 | 戦死 172 負傷 不明 自殺 1 |
勝敗分析
鎮台の勝因としては、
・銃の性能が、スナイドル銃は反乱側より射程が長い。
・東京、大阪などから政府軍は増援がくるので、いずれにせよ不利であった。
・決起の見通しの甘さ。佐賀の志士は自分たちの後に全国の志士が決起してくれることを当てにしていたが、そうはならなかった。
神風連の乱
こちらは反乱側に銃の類は本当に使われなかった。よってラストシーンのような旧式VS新式の戦いが繰り広げられたと思われる。
1876:廃刀令、これをきっかけに反乱。神風連の総数は170くらいだった。
鎮台側 | 反乱側 |
小銃 | 和装、甲冑、烏帽子に直垂 刀、槍、薙刀 銃器なし |
当初、夜襲で不意を突かれたが、指揮系統が支持をし始めると反乱はすぐに鎮圧された。
鎮台 | 反乱 |
戦死 115 負傷者 200 (負傷は全て切り傷による) | 戦死 28 自決 86 刑死 3 |
勝敗分析
陳だ側の勝因としては、いかが挙げられる。
・反乱側が、あえて銃の一切を使用しなかった。これでは技術の差は埋められない。
・反乱側が、銃への対応を知らなかった。政府側の証言に「斬りに来た所をうち、撃てばちりぢりに逃げる」と評されている。(本来は、打ち終わった後に弾丸を込めているところを斬るのが効果的)
神風連の精神性
林桜園という人物が、神風連の実質的なリーダーで精神的支柱であった。この人は神事を優先するなど、国粋主義、敬神第一なところがあった。反乱の時も、神託で決起を決めたと言われている。これらのことから、刀、槍を日本の魂の象徴ととらえていた。
これはかなり特殊な反乱の事例であり、他の反乱では見られない。
秋月の乱・萩の乱
他の二つの反乱も銃に関する着眼点はあるが、佐賀の乱よりも短期間で鎮圧されている。
秋月の乱:こちらは銃があまり使われなかったが、もともと憲兵の監視で銃があつめられなかったのが主な原因であった。
萩の乱:こちらは双方、銃を使っている。
鉄砲の軽視?
明治初期の反乱が、刀ややりの精神性・象徴性にこだわったとか、鉄砲を軽視していた、というのは、これは事実誤認の可能性が高いとも言われている。
これらの根拠や原因は、来日していた外国人の観察によるものが大きいとされている。
実際には、あたらしい武器を取り入れるのはむしろどの陣営も行っており、神風連のイメージが広まってしまっている感じは否めない。
なお、神風連も対外膨張を唱えたとか、さまざまなイメージ付けがされているが、ほとんどはのちの俗説であることがわかっている。
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