【図解】「科学革命の構造」を要約!誤訳とは?

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「科学革命の構造」はトーマス・クーンが書いた科学史の本です。これのなかから「パラダイム」などの言葉が有名になりました。この記事では、本書の要約を書き起こすとともに、内容の解説を図とともに行います。なお翻訳は中山茂氏によります。

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各章の要約

まえがきと補章もあわせると15章になります。全ページ数は単行本のサイズでおおよそ270ページです。

全体の要約をすると、以下の図のようなものになります。本書の内容は、科学は以下のようにパラダイムが入れ替わることによって発展していく、というものです。

まえがき

この章では、著者トーマス・クーン(したの写真)が科学史に足を踏み入れた経緯などがつづられています。クーンはもともとは、物理学を学んでいた人物でした。学位も、物理学でとっています。

クーンに科学史の指導をしたのは、ジェームズ・コナントという人物でした。この人も、科学史の専門家でした。

第1章 序論:歴史にとっての役割

この章では、科学史の捉え方が、「累積的な発展では説明しきれない」、つまり、業績が積み上げられていくことによって発展していく、とする考え方では説明しきれないということを主張しています。この主張にいたる疑問や難点などを検討していくと、革命による進歩にたどり着く、というふうにまえふりをしています。つまるところ、問題提起のための章です。

第2章 通常科学への道

この章では、「通常科学」について言葉の意味を解説しています。この本で言う通常科学とは、科学者たちが一定期間、一定の科学的業績を基礎として、進行させていく研究と定義しています。

また、「パラダイム」もここで解説されており、この意味は「対立する研究よりも支持されるユニークさを持っており、研究のあらゆる課題を示してくれる業績」と定義しています。

第3章 通常科学の性格

この章では、通常科学がどのような性質を持つか述べられています。通常科学では、パラダイムによって与えられた現象や理論をより磨きをかけることが主眼とされると述べています。

なお、パラダイムが「考え方の枠組み」としても考えられる、ということも述べられています。

第4章 パズル解きとしての通常科学

この章では、「パズル」「パズル解き」という言葉の意味についてのべられています。この言葉は、通常科学においてとくのに才能や手腕が試される問題のことを指します。

通常科学では、パラダイムから導き出される課題にはパズルを解くように答えがあるともなされ、それが科学的であるとされる、と述べています。

第5章 パラダイムの優先

この章では、異なる集団が異なるパラダイムを持っていた場合に、同じ現象をどう見るのか、また、どのパラダイムが優先されるのかということが述べられています。

第6章 変則性と科学的発見の出現

この章では、「変則性」という言葉の意味について解説しています。この言葉は、パラダイムからは予測されない現象をさしています。

これらははじめは無視されますが、徐々に数が多くなっていくと無視できないものとなり、パラダイムはこの変則性も予測できるような修正を迫られます。

第7章 危機と科学理論の出現

変則性が増えてくると、パラダイムは変革を迫られ、新理論が多数登場します。この結果として、古いパラダイムは破壊されることとなり、この状態を「危機」と呼びます。

第8章 危機への反応

この章では、科学者たちが危機にさいして、どのような反応をしたのかがエピソードを交えて騙られています。

反応はいくつかの通りに分かれ、危機により研究を放棄してしまうもの、古いパラダイムに固執するもの、新しい理論の構築にはげむもの、などです。

新パラダイムへの移行がおこると、それが「科学革命」となります。この章までで、用語の説明が一通り終了します。

第9章 科学革命の本質と必然性

この章では、科学革命の本質として「古いものでは説明できなかった予測を取り入れられるもの」という性質があることが具体例とともに述べられます。

第10章 世界観の変革としての革命

この章では、科学革命がその時代の世界観にも影響を与えるということを具体例とともに述べています。

第11章 革命が目立たないこと

この章では、科学革命はいかにして完結するのかが述べられています。基本的にはパラダイムが通常科学になると、教科書的な書物がはじめからそのパラダイムを採用するために、後の学生などが初めからそのパラダイムを学ぶようになるという経過をたどります。

また、革命には影響の代償があり、目だたない革命もあることが述べられています。

第12章 革命の決着

この章では前の章に続いて、革命が決着するとき、新しいパラダイムが古いパラダイムに取って代わる手順がどのようなものであるかを解説しています。

取って代わる直前には、新理論を支持する科学者の着眼点は危機を呼び起こしている問題に集中され、さらに若いがゆえに古いパラダイムに埋没していないという特徴が述べられています。

第13章 革命を通しての進歩

この最後の章では、科学革命がなぜ進歩のぁ立ちをとるのかということが考察されています。

補章ー1969年

この章は、本書が書かれた後に役者の勧めでかかれた追加の部分で、大部分が批判者に対する反論の形になっています。

このうち、パラダイムという言葉の説明に咲いている部分が多く、ここでクーンはパラダイムの意味をいくつかに分け、それぞれ別の語を当てるということをしています。

「パラダイム」の使われ方

パラダイムは今日では、「考え方の枠組み」という解釈をされることが多いです。この解釈も間違いではなく、むしろこの方がクーンの考えを捉えやすいといえるでしょう。

しかしながら、クーンは複数の意味でこの言葉を使っており、その意味は必ずしも「枠組み」をあらわすものだけではありませんでした。

のちに、パラダイムという言葉に代わって、「disciplinary matrix(専門集団)」「exemplars(見本例)」などという言葉に置き換える、という変更を彼自身も加えましたが、これらの言葉は浸透しておらず、パラダイムを枠組みの意味で使うことが通例となっています。

なお余談ですが、この二つの言葉に置き換える、という作業について、翻訳者は「どのくらい浸透するかはあやしい」という予想を述べており、それがどんぴしゃだったといえます。

17世紀の「科学革命」との違い

“The Scientific Revolution”と書くとき、その内容の指すものは、16世紀から始まるいわゆる「科学革命」のことです。

ニコラウス・コペルニクスの1543年の著作「天球の回転について」が、一般的には科学革命の始まりとみなされています。

このあとの代表的な著作としては、ガリレオ・ガリレイの「天文対話」が有名です。

このあとの数学的な革命の総仕上げとして、運動の法則と万有引力を定式化した1687年のアイザックニュートンの「プリンキピア」があります。これによって新しい宇宙や地上の物理現象の統合を完了したとみなされています。

クーンによれば、この科学革命も、パラダイムの転換で説明ができると本書の中で語られています。具体的に流れを書くと、

プトレマイオスモデルでは修正ができない変則事例があらわれる

コペルニクスによるパラダイムの転換

ガリレイ、ニュートンによる革命の終了

この数世紀あとに、ニュートンのモデルもアインシュタインの相対性理論によって否定され、さらなる革命が起きます。

誤訳とは?

検索の予測候補に「誤訳」という予測が出てきます。

これは、誤訳というより誤植というのが多々あります。

たとえば、前半には「ニュートソ(正しくはニュートン)」後半には「どこがられている」など、これらのほかにもちょいちょい誤植が存在します。

まとめ

  • トーマスクーンは「科学革命の構造」で科学史のとらえかたに大きな影響をあたえた。
  • とくに、パラダイムの概念は非常に浸透した。
  • 歴史上の科学革命もこの構造をなぞっている

科学史を解説するサイトとしては避けては通れない名著であり、いつか記事にしたかったので要約に挑戦してみました。ご覧いただきありがとうございました。おすすめ:『人間機械論』の要約