インディジョーンズ魔球の伝説には、サンカラストーンの他にもヌルハチの遺骨(遺灰)が収められた骨壺が登場します。ここでは、ヌルハチの遺骨など、魔宮の伝説に登場する歴史的な宝物の元ネタやモデルを解説していきます。
ヌルハチの遺骨が入った骨壺は実在するのか?
ヌルハチは清王朝の初代皇帝として有名です。女真族を統一し、その勢いのまま明王朝を脅かして清王朝を建国しました。
ヌルハチの遺骨について、劇中では、手に乗るサイズの骨壺に収められているという設定であり、この骨壺はヒスイで作られているという設定があります。
小説版などでは、ヌルハチの遺骨の取引をしたラオ・チェーはヌルハチの遠い子孫という設定もあるようです。
ただし、ヌルハチの遺骨が入った骨壺や、それが失われていた、という設定は、この映画でのフィクションと考えたほうがよさそうです。
女真族の埋葬方法
ヌルハチの出身である女真族は、習慣として死者を葬る方法は火葬という形をとっていたようです。
よって、ヌルハチがこの習慣にのっとって葬られたとすると、遺骨や遺灰は実在したと考えることができそうです。
ヌルハチの陵墓
ヌルハチには陵墓が存在しています。それが福陵です。
この陵墓は中国遼寧省瀋陽市渾南区天柱山にある、清の前身・後金の初代皇帝であるヌルハチ、およびホンタイジの生母であるイェヘナラ氏(孝慈高皇后)の陵墓です。
1629年、ヌルハチがなくなった3年後に建てられたものです。
したがって、遺骨や遺灰はここに初めからあったと考察できます。
また、特に墓が荒らされたり、遺骨が失われた、というような記録も残っていないようです。
なお、映画で使われた骨壺は、現在はカリフォルニアの映画に関する図書館に展示されているようです。もちろんこれはプロップ(小道具)であり、本物の骨壺ではありません。
サギー教団は実在した
この映画では、インドの邪教集団としてサギー教団というのが登場します。翻訳としてはタギーとも呼ばれます。
このサギー教団は、ヒンドゥー教圏に実在していました。また、ヒンドゥー教の死の女神カーリー神を崇拝していたのも史実です。
さらに、神に捧げる目的で殺人を犯していたというのも劇中と同じです。
ただし、殺害方法としては流血を禁忌としていたため、もっぱら絞殺を使っていたようです。
1840年に刑死した教団の一員ベーラムという男が、50年間931人の殺害に関与したと伝えられており、ギネスブックにも登録されています。
イギリス軍がインドを統治することによって掃討作戦が開始された影響で、1835年ごろまでには、撲滅されたという歴史を持っています。
現在、このサグ(thug)という言葉は、犯罪者、という意味で英語でも使われています。
また、ヒップホップでいうところの”thug life(ならず者のような生活)”という言葉にもなったりしています。
まとめ
- ヌルハチの遺骨は、国外に持ち出されたという記録はなく、陵墓も存在しているため、ここにあると考えられる。
- サギー教団は実在し、実際にカーリー神に供物をささげる目的で、殺人を犯していた。
サギー教団が意外と史実に忠実だったのが意外でした。