だいだらぼっちは、日本で語られることが多い巨人の姿をしている妖怪です。ここでは、だいだらぼっちの正体について考察していきます。
だいだらぼっちの特徴
だいだらぼっちは日本各地で語られる巨人の妖怪です。山などに現れ、山を作ったとか湖を作ったなどの伝説が多く語られています。

古い記録では、720年前後に成立した常陸国風土記にその伝説が登場します。
まずは、だいだらぼっちがもつ特徴を見ていきましょう。
箇条書きすると以下のものが挙げられます。
- 巨人の姿をしている。
- 絵に描かれると体の色合いは黒いことが多い。
- 山の周辺に現れたという言い伝えが多い。
だいだらぼっちの語源
だいだらぼっちという変わった名前の語源は何なのでしょうか。
地域にもよりますが、漢字としては「大太法師」という文字が当てられることが多くあります。
つまり、大きくて太い法師ということになります。
法師は、一寸法師などにも使われていますが、元の意味は僧侶、そこから転じて人の姿をしたものという意味を持ちます。
以下では、ここまでの特徴をもとに、だいだらぼっちの正体を考察していきます。
だいだらぼっちの正体はブロッケン現象?
だいだら法師の正体として考えられるのが、ブロッケン現象です。
ブロッケン現象とは、霧や雲のかかった山中などで、登山者の背後から雲に向かって朝日などの光が当たると、雲にその影が映って巨大な人型が現れる、という現象です。

ドイツのブロッケン山で目撃例が多かったことからこの名前が付きました。ブロッケンの妖怪とも呼ばれます。
この説であれば、だいだらぼっちが巨人であることがすぐに説明できます。
登山者の背後から当たった光は散乱してより拡大された形で雲のスクリーンに投影されるため大きくなります。
場合によっては、人間の背丈の何倍もの大きさに感じられることもあります。

また、だいだらぼっちが山の中や周辺で目撃されているというのもブロッケン現象が起こりやすい環境と一致します。
影は黒いことから、だいだらぼっちがしばしば黒い巨大な姿で描写されていることとも合致します。
ブロッケン現象による影は登山者と同じように動くことから、だいだらぼっちの動作にも説明が付けられます。
例えば、登山者が驚いて腰を抜かして座り込んだりすれば影のほうも座ることになり、それは山に腰かけているように見えたと思われます。
恐怖のあまり手をついて泣いたとすると、影の方も手をついて泣いているように見えるでしょう。
こういった登山者とリンクした姿がどこかひょうきんな描写につながっていると考察できます。
もっと言うと、雲は動くこともあり、またその密度が勝手に変わるため、投影された影のほうも勝手に動くように見える、という現象が起こります。
こうなると、まさにだいだらぼっちが目撃者の動きと関係なく動いたと感じられたとしても不思議ではないでしょう。
まとめ
- だいだらぼっちは山などに現れる巨人の姿をした妖怪であり、山や川を作ったなどの伝説が日本各地で存在する。
- だいだらぼっちの正体は山間部でのブロッケン現象により現れた登山者の巨大な影から着想を得た伝説であると考察できる。
巨大な影を見て巨人が山を作ったと連想するのは意外と自然ななりゆきかもしれませんね。