ビリヤード系のカオスの例を観察できるサイトツールです。四角形、円形、陸上トラックを選択可能です。
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ビリヤード系のカオスとは
ビリヤード台の上を摩擦のない小さなボールが跳ね回る――。
この単純な運動が、境界の形を変えるだけで「秩序」から「カオス」へと変わることがあります。
この現象は「ビリヤード系のカオス(chaotic billiards)」と呼ばれ、
数学・物理・カオス理論の代表的なモデルのひとつです。
例えば、
- 四角形や円形の領域では、ボールの運動は完全に規則的です。
軌跡は周期的に繰り返され、初期条件を少し変えても同じような動きを保ちます。
これは「可積分系(integrable system)」と呼ばれます。
しかし、
- 陸上トラック型(スタジアム型)の領域に変えると、様子が一変します。
最初は完全に整列して動いていたボールたちが、次第にバラバラな動きを見せ始めるのです。
これは「ブニモビッチ・スタジアム(Bunimovich stadium)」と呼ばれる形状で、
ごくわずかなズレが指数関数的に増幅していくカオス的な運動が生まれます。
このように、「壁の形」だけで運動の性質が決まるのが、ビリヤードカオスの面白さです。
🧭 ツールの使い方
このツールは、HTMLとJavaScriptで動くビリヤード・シミュレーションです。
ブラウザ上で、3つの形状を切り替えて比較できます。
🔹 操作方法
- 画面上部のメニューで 「四角形」・「円形」・「陸上トラック」 のいずれかを選択します。
- 「スタート」ボタンでボールの運動を開始します。
- 20個のボールが横一列に並び、同じ方向・速度で跳ね始めます。
- 「ストップ」ボタンで一時停止、
「リセット」ボタンで最初の状態に戻せます。
🔹 観察のポイント
- 四角形:ボールは完全に同期して、整然と運動します。
- 円形:円対称のため、反射角が常に一定。きれいな周期運動が見られます。
- 陸上トラック(スタジアム型):時間の経過とともに軌跡がバラバラに。
微小なズレが大きく拡散し、カオス的な振る舞いが明確に観察できます。
🧩 まとめ
- ビリヤード系カオスとは、壁の形状によって運動が秩序的にもカオス的にも変化する現象。
- 四角形や円形では可積分(規則的)、スタジアム型では非可積分(カオス的)となる。
- このツールを使えば、同じ初期条件で形を変えるだけで、秩序→混沌への遷移を体感できる。
- 「形が運動を支配する」という幾何学的カオスの本質を、視覚的に理解できる。
領域の形が違うだけで振る舞いが全く変わるというのが興味深いポイントです。


