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ヨーロッパの歴史的建造物を訪れたとき、時折「なぜこれがここに?」と首をかしげるような装飾に出会うことがあります。
その代表例ともいえるのが、スペインのサラマンカ大聖堂(Catedral de Salamanca)にある、「宇宙飛行士の彫像」です。
ヘルメットをかぶり、チューブのついたスーツを身にまとうその姿は、どう見ても現代の宇宙飛行士。しかし、サラマンカ大聖堂の建設が始まったのは16世紀。宇宙開発どころか、飛行機すら存在しなかった時代です。
「なぜこんな彫像がここにあるのか?」
今回は、その意外な真相と、同様に“未来的”なモチーフが施された他の歴史的建造物も紹介します。
この宇宙飛行士の彫像があるのは、スペイン中西部の都市・サラマンカにある新大聖堂(Catedral Nueva)の正面入り口付近。
一見すると、教会の伝統的な外壁装飾の中に違和感なく溶け込んでいるこの彫像。よく見れば明らかに現代風で、違和感を覚えた人が調べて初めてその正体を知る、というケースも少なくありません。
これが中世に彫られたとすると、当時から宇宙飛行士はいたということになるのでしょうか?
それとも未来を予言していた?
中には、「オーパーツ」や、いわゆる「古代宇宙飛行士説」の根拠とされることさえあります。
結論から言えば、この彫像は中世のオリジナルではありません。
実際にこの宇宙飛行士が彫られたのは、1992年に行われた修復作業中。
当時、大聖堂の外壁装飾の一部が劣化していたため、職人による修復が行われ、その際に加えられた“現代的なモチーフ”の一つが、この宇宙飛行士だったのです。
このように、修復作業の際に「その時代の文化や象徴」をこっそり彫り込むのは、ヨーロッパの石工たちの間ではある種の伝統となっています。
宇宙飛行士の彫像のような現代的なモチーフは、他の場所でも見られます。中でも有名なのが、フランスのとある教会に登場する“エイリアン”です。
スコットランドには、なんと“映画『エイリアン』そっくり”のガーゴイルが存在するんです!
その彫像が見られるのは、ペイズリー修道院。
もちろんこれも正体は……1990年代の修復作業中に追加された現代モチーフなのです!
当時の石工(職人)たちが、作業の記念として遊び心で作り込んだもの。
こうした「現代的なキャラ」を伝統的な建築物に紛れ込ませるのは、ヨーロッパではわりとポピュラーな表現方法なんです。
しかも、それがあまりにも精巧だからこそ、本気で信じてしまう人もいるのだとか。
教会だけでなく、歴史的建造物の修復現場には意外と“現代ネタ”がひそんでたりします。
例えば…
……なんて例も。
これ、真面目な観光客が見つけて「え!?」ってなるから、本当に楽しいんですよ。
もしヨーロッパ旅行する機会があったら、こういう“職人の遊び心”を探してみるのも面白いかもです
サラマンカ大聖堂の宇宙飛行士は、修復を担当した職人ミゲル・ロメロ氏によって加えられました。
こうした彫刻は、単なるいたずらや目立ちたがりの表現ではなく、修復に携わった人々が「自分たちがこの時代にこの作業を行った」という記録や印として、さりげなく加えるもの。
過去にも、剣や旗を持った騎士の彫像に現代の眼鏡が追加されたり、ロボットのような姿の彫刻が新たに作られたりと、時代ごとの“痕跡”が歴史的建造物の中に見つかることがあります。
こうした現代モチーフの追加には賛否両論があるようです。
「伝統を壊している」という声もあれば、「時代を超えて建物とともに文化を積み重ねている」と評価する声も。
いずれにしても、こうした彫刻は修復者たちの技術の高さ、そして建物に対する敬意とユーモアの表現とも言えます。
また、観光客にとっても、こうした“時代を超えた装飾”は驚きと発見を与えてくれる貴重な要素です。
まあ、「中世に○○があった証拠!」みたいに誤解を与えている点ではデメリットといえるかもしれませんが・・・。
ヨーロッパを旅行する際、歴史的建造物を見る機会は多いと思います。
そんなとき、ただ全体の壮大さや美しさを感じるだけでなく、細部をよく観察してみると、「こんなところに現代の痕跡が…?」と気づくことがあります。
そうした発見は、旅の思い出をより深く、面白くしてくれるはずです。
最後に、今回の内容を簡潔にまとめます。
歴史的建造物は、過去の芸術や宗教だけでなく、現代の表現も内包しています。
そんな“静かなメッセージ”を探す旅も、またひとつの楽しみ方かもしれません。