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素数について学ぶと、1は素数に含めないということも同時に学ぶが、これに納得できないという感情も抱くこともあるだろう。また、今日でも1が素数に入るというような表現を見かけることがある。これについて、いくつもの方法で解説する。
サイエンスフィクション映画などでも、素数は、そのテーマとの相性からたびたび登場することがある。地中に潜っていって地球のコアを刺激し、地球を救うというストーリーの映画「ザ・コア」にも登場する。
ここでパスコードをちょっとしたヒントを元に伝えるシーンがあるのだが、結果として打ち込んでいるナンバーにてなぜか最初の素数が1になっていたりする。
このシーンで、「1って素数に入るっけ???」となった映画の客も多かったのではないかと思われる。また、このシーンではこのパスコードのヒントは「prime」という単語を通じて交わされているので、かなり素数であることはわかりやすい。
日本語吹き替え版では、「割り切れない」という風に訳してそこから素数とつなげているので、原作版よりわかりにくくはなっている。
一応、優しい目で見れば単に「割り切れない数」だと考えれば1もその数以外では割り切れないとうことには該当するのでそんなに遠い間違いではない。
じつは、数学の歴史の中で素数に1が含まれるという時代もあった。
素数に1が入る時代は中世のイスラム地域での数学かららしく、これは、素数が奇数のうちの特殊な数とみなされていたため、最小の奇数は1なので1が素数に入るとみなされたものであるようである。また、奇数という性質から、逆に2画素数でない、という解釈もされていたようだ。
なお、古代ギリシアでは、1がそもそも数としてはみなされていなかったため、素数になることもなかったという時代もあったようである。
ゴールドバッハ予想で有名なゴールドバッハは、1は素数だと考えていたようである。
これは彼の残した未解決問題である「ゴールドバッハ予想」を見ればその理由の一端を伺い知ることができる。
2より大きい偶数はすべて素数同士の和で表すことができる。
(今日の)ゴールドバッハ予想
この予想の最初は「2より大きい」、というのが現在での書き方であるが、そのような書き方ではなく、もともとは「2以上」の偶数であったようである。これは1が素数に入るとすれば、
2=1+1
という形で2を予想に含めても素数同士の和で表現できる。
このことから、ゴールドバッハは1が素数だと考えていたらしい。
なお、共同研究者のような関係であったオイラーは素数は2からと考えていたらしい。
17世紀の素数表の一例が以下の画像である。ここではかなり今日のものとは違う素数の並びが見て取れる。
結局、素数に1が入った状態の素数表は1950年代まで発行され続けていた。数学者としては、20世紀初頭まで生きていたルベーグが素数に1を含める最後の論者だったようである。
こんにちでは、素数に1は入らないというのが常識となっている。これには、いろりろな形で説明できるが、簡単に説明するものから解説する。
素数の簡単な定義として、
「約数の個数が2つになる数」
というものがある。
当然、2、13などは1とその数自身しか約数にならないので、約数の個数は2つとなる。
1は、約数は1のみ、ということになり、これは約数がひとつの数、となってしまうので、素数にはならない。
素因数分解の一意性とは、素因数分解した場合に、その書き方は1通りしかないという意味である。
たとえば6は(順序は小さい順と固定)
6=2×3
という風に、1通りにかけるが、1が入ると(1何回かけても数はそのままということに注意)
6=1×2×3=1×1×2×3=1×1×1×2×3・・・
という風に何通りにもかけてしまうので、入れないほうがよいということである。
素数に1を含めないのはなぜか、という理由の解説としてはこの解説の仕方が一番有名で、授業などで聞いた人も多いかもしれない。
エラトステネスのふるいは、ある数が素数であるかどうかを検討するうえでもっとも古いもののひとつであり、有名なものである。
これは2から順番にその倍数を消去していくことで、知りたい数が素数であるかを求めるものである。もちろん2が終わったら3、3が終わったら5という風に続けていく。
しかし、1を素数に入れてしまうとエラトステネスのふるいが機能しなくなる。これは1の倍数を消去してしまうとすべてが消えてしまうから、ということを創造すればすぐにわかるであろう。このことから、素数は1に入れてしまうと厄介な事情が生まれてしまうことがあるのである。
・素数に1が入らなかったのは、もともと素数には奇数のみという観念があり、奇数のうちの最小のものということで選定されていた。
・結局、素因数分解の一意性などを主な理由に、今日では素数に1は入ることはなくなった。
・素数に1を認めてしまうと、他の数学の事項の記載が複雑になったり手法が使えなくなったりする。